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ーこの様に、「幽鬼の王」パトリックの治世に王国は隆盛を極めた。
しかし、読者諸君も知っている通り、当時のことは「空の玉座の時代」とも伝わっている。
戴冠以来、国王パトリックは宰相や大臣たちに政務を丸投げし、頻繁に王都から姿を消していた。それも1月など当たり前で、ひどい時は半年を悠に超えたという。
当然、近衛達は必死の捜索をしたが、ついぞ雲隠れした国王を見つけることはできず、実質王が自主的に帰るのを待つより他なかった。
騎士達はもちろん、側近達もどこに行っているのかと苦言を呈したが、「天上の国で美酒を飲み温泉に浸かっていた」などとはぐらかすばかりだった、と側近達の遺した手記には愚痴の様な記述が散見される。
そんな国王パトリックだが、不思議と政治的にいなければならない時、また王の不在を狙って良からぬ輩が動き出そうとした時、必ず人知れず帰還を果たし采配を奮い治世が乱れることを許さなかった。
その為、後ろ暗い者達からは幽霊の様だと恐れられた。それを面白がった国王パトリックは生前に自らの諡号は「幽鬼王」とする様に側近達に命じ、最も王国を栄えさせた名君でありながら不吉とも取れる名を王国の歴史に自ら刻んだのである。
<王国史第7巻より抜粋>
パトリックまともやなぁ・・・是非とも成してほしい。
まともな兄
Thanks.