その30

 彼女は付き合う前から弱音を吐く子ではなかった。


 ある日僕が見たのは、ため息をついて落ち込んでいる彼女だった。


「どうしたんだよ?」


「い、いや何でも――」


 すると彼女の目には涙が。


「僕だけには正直になって?」


 彼女の手を握った僕。彼女は涙の訳をゆっくりと話してくれた。

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