五章 嫉妬って事?

(1)

 翌日、前日の疲れからか家に着いたら眠ってしまっていた。急いで準備をして水族館に向かう。水族館は家から30分程離れた場所にあった。

 犬カフェ併設…?嘘だろう?!そんな水族館あるのか?水陸両方向から癒されるなんて、最高だ!

 「ねぇ?行こう!」

 「ちょっと待ってよ」

 「まさか…うわき?!」

 「えぇ?!なんでそんな言葉知ってるのさ?」

 「き…聞いた!」

 「へぇ…?」

 僕が犬カフェの看板を見ていたからだろうな。それにしても…言葉の吸収が早いなぁ。誰から聞いたかは大体察しがつくけど、ちゃんと場合にあった言葉選びをしているし。

 「じゃあ、行こうか?」

 ひまわりを引っ張って連れて行く。中はひんやりとしていて、青いライトで照らされ、海の中から全体を見通せるようになっていた。様々な魚の群れが目の前を通り過ぎていく。

 こうやって見ると、本当に綺麗だな。海に入りたいとは思わなかったけど、ガラス越しなら全然大丈夫だ。

 「魚がいっぱいだね!」

 「そうだね、光に照らされて綺麗だよね」

 「美味しそう!」

 「た、食べないよ?!」

 「う~ん?」

 分かってなかったみたい。ていうか、ご飯だと思ってたのか。間違ってないけど…水族館でその発言はまずいな…。

 「魚を見て楽しむところだからね?」

 「見て…?たのしい?」

 「色鮮やかだし、綺麗でしょ?」

 「うん?そうかも!」

 うん、ダメみたい。諦めて先に進むか…。水族館はまだ早かったかな?いや、でも遊園地では綺麗って感覚は伝わったしなぁ…。僕の努力次第か?

 先に進んでいくと、深海コーナーが見えた。さっきの空間より薄暗くなっている。小さな縦長の水槽にいくつもの珍しい魚が展示されている。

 「うわぁ……怖いなぁ」

 「そうなの?」

 「口が大きくない?」

 「大きい!」

 「バクっと食べられそうだよ」

 「やってみる!」

 ひまわりは水槽に向かって口を開けて近づいていく。そろりそろり…って捕食側なのかい!

 「違うよ!!バクっ!と食べられる側だよ?」

 「ひぃぃ…こ…怖いかも…。」

 ひまわりを手で挟み込む。ひまわりはちゃんと想像できたようでぶるぶる震えていた。深海魚って…モンスターじゃない?こんなのがあんな広い海にたくさんいたら…海なんか怖くて入れないよ。

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