(7)
駅の外で一台の車が止まる。母さんの乗る車だった。時刻は20時だから、一時間かけて迎えに来てくれた。
「母さん、ありがとう」
「ママ!」
「はいはい、いいから座りなさい?」
「はーい!」
僕は助手席に座って、ひまわりは後部座席に座った。車を走らせると、ひまわりは後ろで寝てしまっていた。
「どうだった?楽しかったかしら?」
「そうだね、結構楽しかった」
何故か母さんは黙り込んで考える。眠くなったのかな?大丈夫か…?コーヒーかなんかでも買っておけば良かったかもしれない。
「ひまわりちゃんの事、好きになったの?」
急にぶち込んできた。驚きすぎて2、3秒言葉を失う。もしかして…家族だから良くないとかそういう話なのかな…。
「な、なんで?」
「あんたの様子を見ていれば、ねぇ?」
母さんはにやにやしていて楽しそうだった。ただ、嬉しいだけか。それにしても…分かられちゃうのか。恥ずかしいな。でも、急になんだろう?そんな話一度もしてこなかったのに。
「いつまで居るか分からないんだから早めに頑張りなさい?」
「どういう事?」
「生き返るって、意味わからない現象が起きてるでしょ?」
「うん」
「いつ、どうなるか分からないからね」
確かに…考えたこともなかった。この後もずっと一緒に居られる保証なんてどこにもない。もしかしたら、明日別れが来るかもしれない。そんなこと言ったって…準備が出来てないよなぁ…。
「ずっと居るならいいのよ、寄人が責任取ればいいだけだから」
「な、何それ?無責任な…」
「違うわよ、どうせ一緒に居るんでしょ?」
「ま…まぁ…」
「それならいいのよ」
そうだよな…今度こそ早めに言わなければならないよな。前に経験したじゃないか…もっとしてあげれば良かったと思うなら、早めに行動に移さなきゃって誓ったんだ。連れて行ってあげるだけじゃダメか。
「ほら、これもあげるわよ」
「何…え?水族館のチケット?」
「そう、二人で行きなさい?」
都合良すぎない?何でこう…次から次へと降ってくるんだ?ひまわりは魚を見てどう思うんだろうな…?ちょっと面白そう。
「にやにやして…本当に良かったわね?」
「な?!ち、違うよ…」
本当に…嫌だな、母さんは鋭すぎるよ。水族館で告白…なんてできるかな?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます