(5)
ひまわりと手を繋いで祭りを見る。少しだけ緊張する…ていうか、すごい緊張している。近所の祭りでこんな…でも、嬉しさが勝ってる気がしないでもない。とりあえず…何か食べよう。
「何食べたい?」
「う~…どれも良い匂いがする…選べない!」
「そっか、じゃあ…唐揚げとか?」
「何それ!おいしい?」
「すごいおいしいと思うよ?」
唐揚げを買ってひまわりに見せる。ひまわりは唐揚げをじっと見つめる。どう思うんだろうな…人間として生きているからこそ当たり前だけど…犬からするとおいしそうに見えるんだろうか?
「食べな?」
「わかった!」
「ストッ…」
遅かった。一口で食べてしまった。熱いから気を付けてって言わなきゃいけなかったのに。ひまわりはどこで覚えたのか、はふはふと普通に食べている。なんだ、熱いの食べられるじゃん…。
「おいしい!」
「そっか、良かったよ」
「いこ!」
ひまわりはどんどん僕を引っ張って店に連れて行く。なんか…手を繋いでるのが、リードに見えてきたよ…どうしよう…。
目ぼしい物を食べ終えたのか、ひまわりは止まって何やら考えている。何を考えているんだ…?まだ食べたい物があるのか…それともなんだ?もういいのかな?すると、ひまわりが急に僕の耳元に近づく。
「デートだよ」
「んな?!どこでそんな言葉を…」
「ママが教えてくれた!」
「う…」
母さん…なんで今教えた?というか…僕を辱めたいのか?じゃあどこかで見ているんじゃないか?!僕は回りを見渡す。でも、まだやっぱり人込みがあるし、見つけられない。母さんは何を見たいんだ…。
「まぁ…その話は置いといて…」
「置いといて?」
「食べたい物はもうないの?」
「お腹いっぱい!」
「そっか…どうしようかな…?」
そういえば、花火が上がるって言ってたっけ?でも、花火に興味あるかな…?ひまわりをちらっと見ると、ずっと目を輝かせてこっちを見ている。
「花火…見る?」
「ごはん?!」
「食べられないよ?」
「そっか…」
「空に上がる綺麗なもの?」
「寄人と一緒なら見る!」
そっか。じゃあ、思い出をいっぱい作るために…花火でもなんでも、見に行こう。ひまわりが今まで行けなかったところも全部。
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