(2)
家から10分ぐらい歩いたところの川、そこに二人でやってくる。グローブをひまわりに渡す。ひまわりは首を傾げながらグローブを見つめる。そうだよね、口でキャッチするもんな。
「手に嵌めて、それでキャッチするんだよ?」
「分かった!」
本当に分かったのかな?とりあえずボールを投げる。ひまわりはボールを追いかけて行き、見事に空中キャッチをした、口で。口じゃないって言ったのに…!
「ひまわり~!口じゃないって!」
「はへ?ぼおびゃなふぃの?(あれ?こうじゃないの?)」
「手、手だよ!ていうか…よく口に入ったね?」
「うん!入ったよ!」
嬉しそうにして…ってこっちに走ってくる?!そっか、投げ返すって分からないもんな…。僕にボールを手渡して走って戻っていこうとする。なんか…これでいいのだろうか?
「ひまわり!今度はボールを投げてみて」
「投げる?」
「こんな感じに!」
僕が手本とばかりにボールを投げる。宙を舞うボールにくぎ付けでひまわりは足元を見ていない。ドスッっという音が聞こえてひまわりが尻もちをついた。頭にボールがポコッと当たった。
「ははっ子供みたいなエラーだ」
「う~、そんなことない!」
「もう一回やる?」
「やる!」
ひまわりが持ってきたボールを見つめる。昔よくボール投げて遊んであげてたのが活きてるのかな。思った通りの場所に投げれる。「行くよ」と声を掛けてボールを投げ…やばい、暴投した!
ひまわりに声を掛けようとしたら、ひまわりは一生懸命ボールを追いかけて行って…川の方で足を取られて転ぶ。川が浅くて助かった…。
「気持ちいね!」
「そう?それなら良かったよ」
「帰る?」
「う~ん、熱くなってきたし…帰ろうか」
ひまわりが立ち上がってボールを手渡してくる。ひまわりの方を見ると、服が水分を吸って透けていた。ちょっと?!透けてる、どうしよう…。びしょびしょなのは…帰ってれば乾くか。
段々気温が高くなってくる。今日の気温は何度だろう。体感的には…34度ぐらいかな?スマホを見て見ると、34度と表示されていた。横に居るひまわりを見ると、服は既に乾いていて、風に揺られてTシャツがひらひらしていた。
もう家まですぐそこっていうときに、ひまわりが蹲った。どうした?!何があった?
「大丈夫?気分悪い?」
「う~ん…?お腹すいた」
「お腹…空いた…?」
ひまわりのお腹ががすごい音を立てた。おい、すごい心配しちゃったじゃないか!僕の心配を返してくれ…。ひまわりを引っ張って家に入る。時計を見て見ると12時だった。すごいな…犬だった時の名残か何かなのか?腹時計が正確すぎる…。
ご飯を三人で食べて庭を見つめる。ひまわりも横に座ってじっと眺める。これ…楽しいのか?ひまわりは僕をじっと見つめて首を傾げている。なんか、楽しくなさそうだな。
「これ、楽しい?」
「うん、楽しい!」
「へぇ…そうだったんだ」
犬のひまわりもずっと僕の顔を眺めていたけど…楽しかったんだ。面白い顔なのかな?っていうか、面白い顔ってひどくないか?別に美形じゃないのは自負してるけど…福笑いみたいになってる?
「顔が面白い?」
「う~ん…わかんない!」
「そこは否定してよ?」
「ひまわりちゃんにそんなこと言ってもしょうがないでしょ?」
いつの間にか後ろに母さんが居たみたいだ。そうかね?ひまわりだったら…かっこいいとか言ってくれる事を期待してもいいんじゃないかな?だって…兄妹みたいなものだし。考え事をしている間にひまわりは僕の上に座ってきた。お尻を向けて。それは…まずいな。
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