二章 あれ…認識と違うよな…?
(1)
あれ、ひまわり?死んだはずなのに…?ひまわりはそのまま僕の元から走り去る。行かないで、行かないで!必死に追いかける。いくら追いかけても追いつかない。僕はその場に座り込んで溜息を吐く。どうして居なくなっちゃったの?
うぇっ?!後ろから体当たりされた気がした。振り返ると、人間になったひまわりが居た。何しているんだ?ていうか…何か重くて苦しい…声も出ない。ちょっと、ひまわり。そこをどいてくれ!
「はっ!なんだ夢か…」
「おはよう、寄人!」
「おはよう…って苦しいよ、ひまわり!」
目を覚ますとひまわりが僕の上に跨ってた。苦しい原因これじゃないか!犬の時と体重も違うだろうし…流石に、ね?ひまわりは首を傾げて僕の上から退いた。なんか…良くない目覚めをした気分だ。
ひまわりを連れて下に降りる。ん?みんな揃ってる…何時だ?時計を見ると午前6時半だった。早すぎだ…起こすのが早いよ、ひまわり。
「あら、おはよう」「おお、早いな、寄人!」
「ひまわりに起こされた…」
「うん?起こした!」
「偉いわね、ひまわりちゃん!」
「うん!」
満足そうにして…。まあ、夏休みはひまわりと遊ぼうと思ってたし、いっか。でも、人間になっちゃったんだよな…何して遊ぶんだろ?ボール投げとかしないだろうしな?どうしようか。
父さんが立ち上がって玄関の方に向かった。ひまわりはそれを追いかけていく。みんなで見送ってもいいか!みんなで玄関に立って父さんが準備するのを眺める。父さんは恥ずかしそうにしていた。
「みんなで見送りなんて…父さん泣いちゃう!」
「たまには…いいかなって」
「毎日してくれ!」
「それは嫌だ」
父さんの顔が少し寂しそうに見えた。本来は見送って欲しいんだな。玄関を開けて父さんが出ていく。
「行ってらっしゃい」
「行ってきます」
そのやり取りだけして、玄関からリビングに入った。
椅子に座って、考える。ひまわりと遊ぶ…散歩には行ける、あとは…なんだ?何をすると楽しいだろうか?う~ん…。考えれば考える程、分からない。
「母さん、ひまわりと遊ぶって何する?」
「そうねぇ…ボール投げとか?」
「それさ、絵面がすごくない?」
「キャッチボールとか、どうかしら?」
その手があったか!せっかく朝早く起きたし、外に遊びに行ってみるか?熱中症対策だけ気を付ければきっと大丈夫かな!とりあえず、体温だけ把握しておかないと…。
「ひまわり、こっちにおいで」
「なに?どうしたの?」
「はい、これで体温測るよ」
「分かった!」
ひまわりはお尻をこっちに向けて…って違う!それは犬の体温測るときだ!今やったらまずいから!
「違う違う!脇でいいんだよ?」
「わき?分かった!」
「見本を見せるからね?」
僕はそのまま自分の脇に体温計を挟んで計測する。自分の体温は…36.5°か。次にひまわりにボタンを押して体温計を渡す。ひまわりも見様見真似で脇に挟んでじっとしている。ピピッという終わりの合図と共に僕に体温計を渡した。体温は…36.5°正常値だ。
「よし、これなら大丈夫だ!」
「いいの?」
「人間なら…ね?犬だと38°ぐらいだけど」
今は地面から近くないし、水分を摂ったり気を付ければいい。犬の場合は快適に歩けるように注意しないと、熱中症で大変な事に…。考えたくないけど。
さて、キャッチボール出来る場所なんてあったかな…
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