極道シスターの武闘派組織運営譚 TS化したヤクザは異世界に行きます

第15話 真夜中のカチコミ

「ここが奴らのヤサか、洋館とは中々風情があるじゃないの」

　キョウカとルシーラは町外れの洋館に辿り着いていた。

「今回は正面からド派手に入るぞ、いいか」

「うん、了解……後方支援は任せて…」

　そしてキョウカは勢いよく玄関扉を蹴破る。

「神聖ミカド組です！ウチの女神サマを返してもらいに来ました！」

　中に入るとそこには黒甲冑姿の騎士が三人立っていた。

「ほう、約束通り現れたか、シスター・キョウカ」

「何故私の仲間に手を出した？卑怯なやり方しかできないのか？帝国って連中は。」

　ここは敢えて相手の出方を伺うために挑発気味な質問をする。

「なんとでも言うがいいさ、それより貴様らの置かれている状況を考えたらどうだ？」

　しかし奴らはそんな安っぽい挑発には乗らなかった。

　それに、この状況はまずい。

　ハードックの時、黒騎士は一人しか付いてなかった、しかし今回は三人……明らかにこちら側が不利であった。

「まあチャチャッと片付けて女神サマ救出しますか」

　そう言うとキョウカはスカートの中からロングナイフ、太もものホルスターからベレッタを取り出す。

「そうか、報告にあった謎の飛び道具とはソレの事……ではお手並み拝見といこうか！」

　奴らは一斉に剣を構える。

「こちらこそ五分以内に全員地獄に送ってやるよ！」

　それと同時、三人が一斉に斬りかかってきた。

「うわ、危なっ！」

　一見すると闇雲に振ってるように見えるが、刃はキョウカを正確に捉えながら振り下ろされている。

(チクショウ…こいつら息ピッタリかよ…)

「やらせない！光臨！」

　流石に3対1の勝負は見てられなかったのだろう、ルシーラが後ろから遠距離魔法で援護をしてくれている。

　しかしその魔法攻撃も奴らは意に介さず、回避される。

「くっ……速い…私の魔法も全然当たらないなんて……」

　だが鬱陶しく感じたのだろう、黒騎士の一人が分離してルシーラに襲いかかる。

「あっ……」

(まずい！あいつは近距離戦に関して完全に不利だ)

「させるかァ！！」

　キョウカが叫びながら一呼吸の内に奴に向け、三発の弾丸を撃ち込む。

　命中までとは行かなかったが彼女への攻撃を阻止することは出来た。

　しかしこのままルシーラを守りながらの戦闘は中々に不利なのでキョウカはある選択をする。

「ルシーラ、ここは私に任せてアンタはレガリアスを探してくれ…」

「そんなっ…キョウカ一人じゃ……」

　ルシーラは京真の頼みを聞いて顔を曇らせる。

「この洋館にはアイツらの気配しか感じなかった、新手の心配はしなくても大丈夫だ…頼む、アイツを…レガリアスを救ってくれ」

「分かった…キョウカ！絶対に死んだらダメだからね！！」

　そして脱兎の如く駆け出すルシーラを先程の黒騎士が追いかけようとするも、キョウカがそれを阻む。

「おっと、兄ちゃんここは通す訳には行かねぇな！」

　そして再び、ロングナイフとベレッタを構えた。