如何にして私が乙女ゲームにハマったのかについて

六条京子

第1章 男がいない!

男日照りの日々を過ごしていた私は、焦りが募って出会い系サイトに登録した。

毎日、職場と家の往復で、辺りを見渡しても田んぼしかないド田舎に住んでいるんだから、ラブストーリーは突然になんてあるハズない。


周りの友人のようにフットワーク軽く行動出来たのなら、出会いに遭遇する確率も上がるんでしょうけど、基本、出不精な性格の為にそれも面倒臭くって。


よくドラマで見た「合コン」というイベントも私の職場では発生しないし、このままじゃずっと恋人が出来ないという可能性も十分ありえるわよね?


そう、私はジャンル分けすると間違いなく「陰キャ」に分類される側のキャラクターなの。

交友関係も乏しいし、行動力にも欠ける陰日向の存在。

習慣が人生を形作るというように、普段の行い故にこのような「男日照り」の環境が出来上がっちゃったから、まさに自業自得と言えるんだけど...。


自分が悪いとは分かっていても、こんな風に単調でつまらない日々の繰り返しで、さすがに嫌気が差しちゃった。

学生時代は、もっと20代ってキラキラしているものかと思っていたのに、実際は10代の時よりも色褪せているしつまんない。


学生時代はお金が無くても、学校に通っているから今よりは交友関係も広かったし、何よりも未来に夢を抱けたもんね。


「私は将来、化粧技術もアップして、バリバリ稼いでブランド物をセンス良く着こなすのよ!そして、素敵な旦那様をゲットするんだから!」って言いながら、目を輝かせていたあの頃が懐かしいわぁ。


だけど実際は、お金も相変わらず無いし、見た目も垢抜けないままに年齢だけを重ねてしまっているんだから、情けないわよね。


学生時代は同じスタートラインに立っていたハズなのに、同級生の中にはバリバリのキャリアウーマンや、ハイスペ彼氏をゲットした娘がいるものだから、ついコンプレックスを刺激されちゃう。


いいな。いいな。皆、あんなに輝いているのに、私には何も無い。

重ねてきた時間は同じハズなのに、こんなに成熟度が違うなんて不思議ね。

そこで人生を大きく変えたくて、私は出会い系サイトを始めたってワケ。


何も、玉の輿に乗りたいだとか、パパ活して貢がれたいって訳じゃないのよ。

確かに23歳の私は若さだけは持っているけれど、自分でも容姿レベルは平均並みってよく理解しているつもり。


それでも、好みの男性に美味しい料理を御馳走して欲しいなぁとか、デートでスマートにエスコートして欲しいって願望は、やっぱり女子だからあるじゃない?


それに長年、オタ活で培ってきたSNSスキルはあるから、対面恋愛よりも、こちらの方が私には向いているのかもしれない。


メッセージ機能を使って、自分のペースで相手とやり取りを行えるし、対面会話と違って、じっくり会話の内容を頭で考えられる。


出会い系のレビューを読んでみても、ここから出会いに繋がり、交際や結婚に発展したケースも沢山あるみたいだから、私にもきっと素敵な出会いがあるハズ!

レッツ!出会い系!


そう思ってスタートさせた出会い系での「恋活」なんだけど、残念ながら、思ったようには進まなかったわ。

その詳細については、次の章で述べるわね。



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