第11話 ふと夜中に目が覚める末っ娘

 よなかに、ふと目が覚めたのでしゅ。ははうえはたいてい、ぐっすり寝ていて、寝返りもしないで、朝まで熟睡しているのでしゅ。


 しかし、今夜の母上は、というと。


 ご本人は、たしかに熟睡しているのでしゅ。精霊さん達のうち、夜行性のものは、まあ、こっそりと活動中なのでしゅが。


 ははうえの。かみのけが。


 ふだんはちょっとウエーブのかかった、セミロング? なのでしゅが。


 ラプンツェルさんかというほどに伸び放題で、風にふかれて舞っているのかとおもわれるほどに、毛先のほうがうねうねしているのでした。


 ちょっとかんがえて、そっとしておくことにしました。


 ふと思いついて、隣の父上の寝床(なぜか畳敷きの小上がりの上に布団がしいてある。)をみると。なにやら、うなされているようで。


 頭を不思議な方向に曲げて、苦しそうな寝相で、うなっていて。


 ちちうえの眼鏡と、目が合いました。ちちうえの寝顔には、閉じたまぶたと、眉間のしわが、


 なくて。


 外してかたわらに置いてある眼鏡に、目と眉間の皺が。


 とりあえずちちのアタマを持って、在るべき方向にもどそうとしたら。


 まるで豆電球か、ハンバーガーやサンドイッチを留めるピンのように、


 首から先が、胴体からとれちゃったよ!


 考えるのをやめて、ははうえを起こしまちた。


「ははうえー」


髪の毛がするすると「いつも」の状態にもどって。


「んー」(くしくし)


「ははうえー、ちちが、ちちのあたまが、うなされてましゅ」


「んう~。えい」


ははうえっ! 寝ぼけマナコで、ちちのアタマを戻すとっ!


ははうえは、ちちのアタマを、後ろ前逆に胴体にもどしてしまいました。


「んあっ!?」


ちちが目を覚まして。前後逆の状態で、眼鏡を掛けようとして失敗。眼鏡は掛けてみたものの、結局首だけ後ろを向いた状態で。


「おトイレ? 寒い? 怖い夢見た?」


いつもの声で聞くものでしゅから、


これはきっと、わたくしがヘンな夢をみているさいちゅうにちがいない


と合点して。


一緒にねるー


と言って、小上がりの寝床のほうで三人で寝まちた。

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