第34話
医者と手伝いの
全員が座るのを確認して、
そして
「なるほどのぅ、
「これを幕府の
これが蔓延すれば江戸幕府、いや、日の本自体が崩壊しかねんと強調してくれ」
「こちらに予備を二本ずつ、そちらに一本ずつ渡しておく、無くすでないぞ」
「さて、問題は
「証拠が……、
岡崎が困ったような顔をしている。
いくら幕府とはいえ、証拠も無しに大名家へは乗り込めない。有力な証人はすべて消されてしまった。手元にあるのは白い液と
また
「……
その場にいた全員が耳を疑った。いま、全く関係のない
「
岡崎が思わず声を上げた。
「それが事実なら大変なことです。確かに
岡崎はうんうんと唸っている。すでに自分の裁量権を遙かに逸脱した問題になっているからだ。
もう一人の
「
もう一人の
しかし、
まったく動きが取れない状況になっていた。
突然、階下に人が増えた気配がする。どうやら、同心達が到着したようだ。
「とりあえず、私は戻ります。
証拠を持った
「いや、
岡崎が同僚の
「岡崎どの、失礼ですがあの
「あぁ、大丈夫ですよ。あれでも
岡崎の何気ない一言に
平時は江戸城大手門や江戸城すべてを警護する役職で、五千石以上の旗本か一万石以上の
「じゃ、じゃぁ今のお方は……」
「そこは秘密ということで……」
岡崎は適当に話を濁した。
「今回の騒動ではかなりの数の者達が動いています。
なにしろ江戸の真ん中で
岡崎はそこで一息ついた。まじめな顔になっている。
「このような時に言うのも何なのですが、喜瀬屋は近いうちにお取り潰しになる予定だったのです。この吉原の盟主が老中と話し合いをもちまして、事件の全容が見えるまで潰すことはなくなりました。しかし、大見世から小見世への格下げが条件でして」
岡崎は申し訳なさそうに言葉を切る。
「いや、岡崎様。ここまでの事件を起こしておりながら、そこまでの寛大なご処置が出るとは。これで
そう言って頭を下げた。岡崎は自分じゃあないといってかぶりを振った。
「正直、
本来なら、一揆とみなされて嘆願主達はさらし首なのですがね。しかし、
二人の褒め合いは長々と続いていた。途中から
「では、私はこれで失礼いたします」
「あぁ、取りあえず着替えて風呂にでも入りなさい。本当にご苦労だった」
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