第14話
「
「今、
岡っ引きの一人が
無理矢理
鈍い音が響く。
岡っ引きが大声で悲鳴を上げた。
残りの二人は何が起きたのか理解できず、その場から動かない。
「何奴だ。
二人の武士は土間に降りてこない。その場で重心を低くし、刀の
「
「あまり動くな、傷が治らなくなるぞ。そこの二人そいつを奥に連れて行き医者を呼べ」
二人の武士のうしろから
ふたりの武士のうち一人が振り返る。
「
斬り捨てましょう」
時雨から目を離さない武士の殺気が一気にふくれあがった。
「あぁ、やめとけ。お主らでは無駄死にするだけだ。それにこの者に来いと言ったのは私だ」
「
そして時雨の方に目を向けた。
「あー、すまんが少し揉んでやってくれんか?
怪我は極力避けてくれ」
そう言って少し下がり床に座る。
二人の武士の表情が
「死ねぇぃ」
ずっと時雨から目を離さなかった武士が板間からほぼ水平に
強烈な衝撃に刀身の抜けきらない
太刀はその後
武士はそのまま土間の上に落ち、動かなくなる。
それを見たもう一人は、
脇構えで刀身を身体で隠す。
武士が半歩踏み出す。しかし、それ以上動きは起こらなかった。正確には起こせなかった。
武士の喉元に切っ先がつけられている。刀を振ることも出来ない。振れば、動いた動作で自分の喉が斬れる。
「それまで、だな。引いてくれ」
時雨は、そのまま真後ろに
瞬間、脇構えから斬撃が繰り出された。速度は申し分ない。間合いも十分。勝利を確信していた。
鈍い音。
間合いを潰すためだった。
「武士にしては
不思議な音と共に刀が真ん中から真っ二つに折れる。
どうやったか見えなかったようで、これには
「すごいな、それ。
教えてくれないか」
折った刀を放り投げる
部下の無礼を気にした様子はない。
「いやです」
「だろうな」
そのまま、奥の遺体安置所へとついてゆく。
「お主、
特に返事がないのを気にする風でもなく
「ここだ。
一番奥の台だ。手前は
外にいるから終わったら声を掛けてくれ。
それと
それだけ言い残し、
それを確認した後、
部屋には六つの台がある。そのうちの三つに全裸の女の遺体が並べてある。
手前二人は
すべてが急所を捕らえており致命傷になっている。
(正確すぎるな……)
しかし、
とりあえず、二人の太夫にそれぞれ手を合わせ、
変わり果てた
頬は
さらに気になったのは身体の方だった。体中にひっかき傷がある。
五つの大きな傷は
これは
しかし、それ以上に不可解なものがある。肘の内側にある無数の斑点だ。針の痕のようだ。鍼灸用の針よりも太い。それが両腕、内太股に多数ある。
口元に顔を近づけると
しかし、何か別の匂いが混ざっている。
そういえばお
その後、手を合わせ目を閉じる。
元気に客引きをしていた
(仇は取ってやる)
「終わったか?」
「屋外では申し訳ありませんでした。この
もしご自分でお探しになられるのなら、決まったときに言ってください。お代はお支払いいたします」
「いや、
そのまま
「わかりました。とりあえずここに五十両あります。足りなければいつでもお越しください」
そういうと白い包み紙を差し出した。
「ん、多すぎる。しかも受け取りに来い?
行けるわけ無いだろう。
あんな高い
苦笑しながら
しばらく攻防が続き、結局
「わかったわかった、ありがたく受け取らせてもらう。
身の丈に合わぬ金は身を滅ぼすのだがなぁ」
「それでは
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます