ep4 集合!! 序列2位ギルド

 ピッツァ・マルゲリータとの喧嘩との翌日。再びギリシャ・パルテノン神殿。アマノサカホコの全メンバーが集まり、今後の方針等の会議をしている。

 正面奥壇上にはギルドリーダーのナミ、ナミが座っている椅子のわずか後ろに俺、その少し離れたところに控えているカグ。その反対側、壇の下の中央にナンバー4アマテラス、右は開いていて、左にナンバー6スサノオ。その両横、後ろに合計100名以上のメンバーがいる。

「あれ? ツックーは?」

「『とりあえず最低限戦えるようになるまで顔を出さない』だそうです」

 ナミの疑問にテラスが答える。

「あー、あいつは自分が弱いのも嫌いだし、それを見られるのも嫌いだからな~。まあそのうち来るだろ」

 ナンバー5・ツックーことツクヨミ。スキル”魔剣”の使い手。魔剣といってもレベル1だと普通の剣にちょこっと追加ダメージが入るだけ。だが、スキル”魔剣”はレベルが上がるにつれての派生が多く、様々な魔剣が登場する。

 その中でツクヨミが使うのはレベル200に到達すると解放される”魔剣”の派生スキル”治癒不可の魔剣”。つまり斬られた箇所の治癒が一定時間不可能になる。ボス戦の時はツクヨミのレベルがMAXだったため永久に治癒できないという怖すぎる能力だった。

「それより明日の試合、だれが出る?」

「私とナギとカグじゃダメなの?」

「試合でも殺されたらレベル1からになっちまう。もし3人が全敗した場合は俺たちアマノサカホコが壊滅することと同義だ。最低でも一人は残しておかないと」

「なるほどね。じゃあカ…」

「ここはナミ様を残しましょう。ギルドリーダーがやられるのが1番まずいです」

 割と戦闘が好きなナミがカグを休ませようとするのをカグが冷静に阻止する。まあ当然だな。

「俺も同意だ」

「なんでよ!! 私が出たら絶対勝てるのに!!」

「ナミはうちの最後の切り札だから。こんなゲームの最初からポンポン出ちゃだめだよ。ほらいずれソーラープラネットを滅ぼすときとかに『真打登場!!』ってかっこよく登場すればいいんじゃない?」

「ま、まあそれも悪くないわね。今回は許してあげる」

「じゃあナギさんと僕とあと一人……」

「いや、俺とカグはどっちかでいいよ。能力も似たようなもんだし。お前はまだ能力があんま知られてないから俺が出たほうがいいと思う。どうしてもって言うなら譲るけど」

「いえ、お任せします」

「おっけー。じゃあ後2人は……さすがにテラスとスサノオは無理だよな?」

「さすがに厳しいですね……。戦力的に役に立てないでしょう」

「我もレベル40だからさすがに役に立てんだろう」

「ん~、じゃあ十神の誰かかな? カザシオとワタツミ、アメフキは魔王戦で死んだからレベル落ちてるし、誰がいいかな?」

「水魔法で防御できるハヤアキ兄はいるんじゃない?」

 水魔法は変幻自在が特徴だが特に防御への転用がしやすい。

「確かにアリだな。どうだ?」

「はい! もちろんです!」

「やったね!! お兄ちゃん!!」

 ん? ハヤアキ妹、ありだな。ハヤアキ妹はスキル”鈍化”だったはずだ。10神は全員レベル270以上だから”絶対鈍化”と”停止”は使えるはず。

「もう一人はお前だ。ハヤアキ妹」

「え!? あたし!?」

「やったな妹よ!!」

「そ、そうだね!! お兄ちゃん!!」

「へー、タケハヤ兄妹どっちも出るのね!! じゃあ任せたわよ!!」

「「はい!!」」

「任せとけ、ナミ。俺が出るからには、負けはない」

「頼りにしてるわよ。サブリーダー」

「おう。リーダー」


「どーもみなさんこんにちは!! 解説のストラス・カスタでーすっ!! 本日の一戦はこのイタリア半島エリアをかけた戦い!! 対戦カードはギルド序列7位・ソーラープラネット!! 対戦相手は序列2位のアマノサカホコ!! どちらも魔王討伐戦に参加した有力ギルドだ~!!」

「「オオオオォォォ!!」」

 ローマのコロッセオには多くの観客が集まっていた。まあギルド同士の試合なんてめったに見れるものじゃないしね。

「それでは選手紹介に入ります!! まずはソーラープラネット!! 一人目は、おーっとこれは!! いきなり新加入のメンバーを使ってきた!! フランスを拠点にしていた有名ソロプレイヤー、サズ!!」

 サズ……、魔王戦にもいたやつ……!! 確か魔剣スキルの最上位の一つ”分身魔剣”の使い手だ。魔王戦にいたってことはレベルはMAX、分身魔剣の分身の本数は無限のはず。厄介だな。

「続いて二人目!! ランドグリーズ!! ソーラープラネットの古参プレイヤ―の1人ですがあまり情報がありません!!」

 ランドグリーズ? 誰だ? 魔王戦にはいなかった。魔王戦に参加できるレベルじゃないってことだ。なら最上位の”絶対融解”と”絶対鈍化”、水魔法の”絶対氷結”、”流麗斬破”は無効化できないだろう。

「ラスト3人目!! 魔王戦の生き残りのギルドサブリーダー!! ジュピター!!」

 出てくんのかよ!! あっちの最高戦力だろ? こんなとこで死んだらソーラープラネットはほぼ壊滅だぞ? 

 ジュピターは超バフの”神化の光”が使える。分身魔剣との相性が超良い。ガチやべえ。

「ちょっとサブリーダー、大丈夫なんでしょうね?」

「これは、だいぶ不味いですね」

「勝たないと生き残っても私が殺す」

「ひええ」


「続いて、トップギルドのひとつ・アマノサカホコ!! まずは頼れるサブリーダー!! イザナギ~~~!!!!」

「「オオオオォォォ!!!!」」

「おーっとすごい歓声だ~~~!! イザナギはアマノサカホコで最も有名なプレイヤーの1人で最上級の炎刀スキル使い!! 勇者パーティーのいない今、最も熱いプレイヤー!!」

 なんで俺だけ能力バラされるんだ。

「続いて2,3人目!! アマノサカホコの精鋭軍団、十神の二人!! 最強双子がソーラープラネットを蹴散らす!! ハヤアキ兄妹~~~!!」

 二人セットで紹介された。

「それでは出場選手は前へ!!」

「行くぞ」

「「はい!!」」


 前衛がハヤアキ兄、中衛俺、後衛がハヤアキ妹。

 相手は前衛がランドグリーズ、中衛がサズ、後衛がジュピターだ。

「それでは試合ゲームスターァァトッッ!!!!」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る