004
「おはよう、紗良ちゃん」
「依美ちゃん、おはよう~」
ぐったりと席に座った紗良に声をかけてきた同僚、岡本依美は紗良と同じ派遣社員で一年先輩になる。
「毎朝お疲れ様だねぇ」
「今日は道が混んでたの。遅刻するかと思ったよ」
「それで走ってきたの? 汗だくじゃん。あとで化粧直ししてきなね」
「うっ……そうする」
直すほどの化粧はしていないけれど、と思いつつもよほどひどい顔をしているのだろうか、思わずため息が漏れてしまう。
「ところでさ、来週飲み会あるんだけど、どう?」
「飲み会かぁ」
「たまには参加しなよ。子供、お母さん見てくれるんでしょ?」
「まあねぇ。うーん、でもやめとくよ。お迎えもあるし、その後で行くのはキツイ」
「お迎えもお母さんにお願いできないの?」
「それがお母さん運転免許持ってないのよ」
「そうなの? そりゃ大変だ」
「でしょう?」
始業開始からそんな不真面目な会話を繰り広げられるほど社内環境はいい。
紗良はここで派遣社員として八時半から十七時半まで事務仕事をしている。
働き始めて早二年。時短勤務はできないものの、子育てしながら働くことを理解してもらえているありがたい職場だ。
とはいえ、やはり子供を育てる上でいろいろと制約はあるわけで――。
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