決戦

 ☆城壁上


 アリサが、楼閣から、狙撃をした。64式7.62ミリ小銃を手にしている。


「初弾的中しました」

「ああ、ここからでも見える・・・」


 ・・・私の能力は武器召還、対価は魔力だ。だから、理屈上は、限りなく出せる。

 しかし、

 銃は、誰でも使えるが、統制が取れなければ危険なもの・・・

 あちらは300人いるが、訓練はされていない。

 訓練された小銃班一個(10名)いれば、この国を落とせるのに、素人に配りすぎだ。


 もう、この戦いは終わったわ。



 ☆


「ヒィ、アース様が虫の息だ!」

「ポーションをかけろ」


「あんたがいなければ、軍事チート終わっちまうよ」


 ・・・俺は、商会の金を盗んで、こいつに参加したのによ。

 どうするんだ。

 まだ、弾はある。

 これが尽きる前に、城を落し。回復術士を確保すれば勝つ!


「そうだ。国をとっちまえ!」


「鉄竜で、突撃だ!」


 ハマーで草原を走狗するが、


 城300メートル前で、車が次々にパンクし出した。


 プシュウーーーーー


「うわ。何だ。これは、鉄竜が!」


 ドカン!



 ☆回想3週間前


「皆さんが鉄竜と呼んでいるものは、異世界では自動車と呼んでいるもので、車輪はゴムで出来ています。

 車防止柵を作ってもらいます。低くて大丈夫です。いえ。低いから、草に隠れて見えないでしょう」


「しかし、アリサ殿、いくら、何でも、こんな低かったら、じどうしゃとやらは、ジャンプするのではないですか?」

「いえ。自動車は基本、ジャンプできないのです」


「何と、地竜は、ジャンプできますぞ」


「使者が乗って来たジープで実証します。地形を利用しなければジャンプもできなければ、空も飛べません」


 ・・・・・


「おい、車から出ろ!ここから、徒歩で、突撃だ!」


 アースの部下たちが、車を出るが、


 そこに、魔導師たちが、襲い掛かる。


「「「ファイヤーボール!」」」


 ボォオオオオオオオーーーーーー


 車に着弾し、燃えだした。


 ☆回想


「・・・車は空を飛べません。そして、車は燃えるのです。燃える血液が流れていると言っても良いでしょう。ファイヤーボール一発、火事のもとです」


 ・・・・・


「本当に、燃えやがったぜ。おい、早く避難だ!」


 魔導師たちは、後ろの陣地に逃げ込む。

 そこは、土嚢で作られた壁だ。


「撃て!撃て!」


 バン!バン!バン!バン!

 しかし、


「な、何だ。鎧も通す鉄ツブテが、通さなねえ」

「意味不明だ!」



 ☆回想


「お城の令嬢、貴婦人たちには、縫い物をしてもらいます。袋を作ってもらいます」


「まあ、私たちに、お針子をしろって?」


「分かりましたわ。王女として命令します!皆様、刺繍の腕を披露するチャンスですわ!」

「殿下!」


「でも、これは、何のために?」


「この袋に土を詰めます。5.56ミリ弾なら、土嚢一個、いえ。二個で防ぐことが出来ます」


 ・・・・・


 戦況を遠くから見守っていた令嬢・貴婦人たちは、涙を流す。


「「「私たちが作った袋が、殿方の命を守っているわ!」」」


 ☆


「ギアスの兄貴、どうしやすか?」


「な~に、この時のために、火炎放射器隊がいるのだろう。あの壕を燃やせ!」


「火炎放射器隊前へ!」


「「「「ヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒ、消毒だ!」」」


 ボオオオオオーーーーーーー

 壕を襲うが、


「エミリ姫以下、エルフ魔導師隊前へ!プティングですぞ!」


「「「「「風の精霊よ!力を貸したまえ!」」」


 ボオオオオオーーーーー


 炎に風が真っ向から当たる。


 すると、炎は止まった。


「「「何故だ!」」」


 ・・・あれは、プティングよ。プティングと思えば怖くないわ。


 ☆回想


「そもそも、火炎放射器の中身は、ナパーム・・・ゲル化したガソリンが入ってます」


「・・・わかりませんわ」


「燃えるプティングとイメージすれば、大丈夫です」


「そして、射程は最大70メートルぐらいですが、それだと、一回引きがねを引くと終わりです。

 それに、この兵器は強風での使用は不可です。威力は弱いのです。

 つまり、貴方方は、火炎への恐怖心を克服し、数分間だけ風を当てれば勝ちです」


「皆様、耳短族の魔導師に頼んで、火炎魔法の恐怖を克服しますわ」


「「「「はい!」」」


 ・・・・・


 やがて、炎は、逆流し、火炎放射器隊を襲った。

「「「「ヒィィィィィッィイイ」」」


 ボム!


 引火し、炎に身を包まれた。


「ええい。もう、突撃だ!今更シャバに帰っても、殺されるだけだ!国を盗むんだ!」


 もう、この時には、キツネ族は、背中を見せ。撤退を始めているが、


 パン!パン!パン!


 楼閣からアリサが狙撃している。

 逃げる者から撃っている。


 人族と、キツネ族、数十人が、撃ちながら、突撃を敢行するが、


 ババババババババン!


 壕は空だ。


 魔導師たちの背中が見えている。


「皆、エルフ殿を背負って第二防御陣地まで、撤退だ!」


「はあ、はあ、申訳ありません。魔力切れで」



 しかし、


 楼閣にいたアリサは命令を出す。


「射程200メートル、撃て!」


 城壁内側に控えていた。騎士達が曲射で撃つ!


 ギアスたちに矢の雨が降り注ぐ。


 ヒュン~ヒュ~ン


「「「ウワーーーーーー」」」


 ギアスも討ち取られ、もう、組織的な抵抗は出来なくなった。


☆回想、騎士視点


「しかし、魔導士を前衛に、騎士は壁に隠れて弓を撃つなんて」


「蛮勇無用!騎馬突撃は、銃のかっこうの的になります。異論は認めません。

何にでも射程があります。魔導士の陣地を、弓の射程内に設置します。

 奴らが、突撃をしたら、意図的に、陣地を放棄。

 貴方たちは、ひたすら、壁の内側から、陣地を目標に、矢の雨を降らす訓練をしなさい」


「王女殿下も縫物をされている。たまには、裏方をしよう。ここは、魔導士に一番槍を譲ろうではないか」


「騎士団長、分かりました」


・・・・・


「全て、アリサ殿の言うとおりになった。アリサ殿、もう、立っている者はおりません。掃討戦に移行しますか?」


「いえ、まだ、銃を持っています。作戦通り。私だけ出ます」


 アリサは、草原に一人で出るが、


「ヒィ、ヒィ、こっちに来るな」


 生き残った者が最期に、射撃をする。


 バン!バン!


 アズサはゆっくり近づき。


 確実に構えて、撃つ。


 怪我で動けないアースの部下たちを次々に殺して行く。


 たまに、銃撃があたるが、


「ヒィ、何故、死なない!」


 バン!


アリサは、防弾チョッキ、防弾腕当て・・・等、フェイスガードも含めて、近接戦闘仕様だ。


 ・・・・彼らは、銃を撃つのに、銃床を肩につけて射撃しない。5.56ミリ弾は反動が少ないから可能だけど、それだと、命中精度が格段におちる。

 それに、銃が整備不良で、すぐに、ジャムる。


 カチャ、カチャ


「あれ、何で、弾が、出ない!」


 バン!


 アリサは最後の一人を射殺した。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る