第4話 5日目 釜山(プサン)へ

トラベル小説


 9時にチェックアウトして、ソウル駅へ向かう。近いけれどタクシーで行く。スーツケースをごろごろ引いて歩くのはつらい。

 KTXのチケットを買おうとしたら、1時間後のチケットは満員。2時間後の便に空きがあったので、指定席を買った。自由席はない。

 時間があったので、駅となりのカフェで時間をつぶすことにした。韓国のコーヒーはやたら甘い。辛いものを食べる反動なのか、アイスも韓国人はよく食べる。それでバランスをとっているのだろうか。

 コーヒーを飲み終わると、木村くんが

「となりのスーパーで買い物してきていいですか?」

と聞くので、

「いいけど、30分前にはもどってきてよ」

とくぎをさした。以前、妻との会話で似たようなシチュエーションがあったのを思い出した。

 時間前に、木村くんはもどってきた。

「お土産にキムチを買ってきました。この前南大門で食べたのがおいしかったので」

「あれは浅漬けキムチだよ。お土産は深漬けだよ。予想より酸っぱいと思うし、飛行機の中で破裂するかもしれないよ」

「えーそうなんですか? でも、帰りはプサンから船で日本に渡るんですよね」

「福岡から新幹線で帰るの?」

「いえ、飛行機の予定でした。やばいかな?」

「破裂しても大丈夫のようにぐるぐる巻きにした方がいいよ」

「わかりました」

と言っているうちに、出発の時刻になった。

 木村くんとは席が離れてしまった。静かな時間になった。


 3時間でプサンに着いた。料金は7000円ほど。バスの倍額だ。時間を買ったようなものだ。ホテルはバスターミナルの近くにとった。ここに2泊する。1泊1万円程度。リーズナブルだ。

 荷物を置いてからタクシーで釜山鎮城(プサンチンソン)に行った。プサンの街を見下ろす高台にあり、見晴らしはいい。ただし、遺構としては石垣程度しかない。現在は公園になっており、遊具や健康器具が置いてあり、市民の憩いの場となっている。そこからタクシーでふもとに降りようとしたが、なかなかつかまらない。結局ふもとまで30分歩くことになってしまった。ふもとには朝鮮式の建物があった。釜山鎮城は倭城となった後、朝鮮の城として使われたのだ。復元の城だが、見応えはあった。

 夕食は、スンドブチゲを食した。豆腐がとろっとしていて、豆腐のイメージが変わる味だった。

 

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