第24話  驚きの再会。

 ーーアクアここは?


 さっき来た場所とは違う。


 “妖精の国だよ、と言ってもティーナが来れる場所は僕の家だけだけどね”


 ーーアクアのお家?


 周囲を見回すけど水の中にいる。


 何もないし誰もいない。


 とても静かな場所なのになぜか落ち着く。


 ポテンと座るとふわんっと突然クッションのようなソファ出てきた。


 ーーえっ?えっ?な、何?


 “ティーナが必要なものが勝手に出てくるよ、テーブルも!”


 そう言った途端テーブルが現れた。


 ーー凄い!本で読んだ魔法みたい。


 クスクスっ。


 “僕は妖精だよ?”


 ーーそうだった。






 アクアはモジモジとしていた。何かあったのかしら?さっきまでとは違って何か言いにくそうにしている。


 ーーどうしたの?


 “ティーナごめんね。やっと会わせてあげられる……”



 ーーあっ、アクアが言ってた会わせたい人ね?



 突然現れたその人は……


「お母様?」


「クリスティーナなの?」


 わたしの目の前にいるお母様はわたしが覚えている頃とあまり変わっていなかった。


 わたしの代わりに亡くなったと聞いていたのに……


 “セリーヌが身を投げた時僕が助けてそのまま妖精の国に連れてきていたんだ”


 ーーお母様は助かっていたの?よかった……


 わたしは記憶がなかったけど令嬢達に話を聞いてからずっと辛かった。


 みんなに迷惑をかける存在でしかないわたしが死ねばよかったのに……と本当はずっと思っていた。


 まさかお母様が生きているなんて……


 “セリーヌはティーナと同じで記憶をなくしていたんだ。それに……酷い火傷で……なかなか治らなくて……”


「アクアは助けてくれたのよ。どうして謝るの?」

 お母様はアクアに優しい口調で話しかけた。


 “だって僕があの国に雨を降らさないようにしてたんだ”


 ーーアクアが?


 “僕の愛し子のティーナを邪険に扱うあの国が嫌いだった”


 ーー雨が降らなかったのはアクアが?


 “うん、まさかそのせいでティーナが生贄にされるなんて思わなかった。僕が気がついて急いで助けようとしたらセリーヌが代わりに源泉に飛び込んでいたんだ”


 ーーアクアがお母様を助けてくれたのね?


 “うん、そしてずっと保護してたんだ”


 ーーわたしに教えてくれなかった理由は?


 “ティーナもわかっただろう?ここと人間の世界は時間の流れが違うんだ。セリーヌがやっと治ったと思った時にはティーナはもう15歳だったんだ……治るかわからないセリーヌのことを僕は伝えることは出来なかった。

 それにティーナはセリーヌのことを病気で亡くなったと思っていたから言うのをやめていたんだ”


 ーーアクアがたまに居なくなっていたのはお母様のところに行っていたの?


 “うん、セリーヌを治してあげなきゃ、僕のせいだもん。ティーナの代わりに死のうとしたんだから”


「クリスティーナ……ずっと辛い思いをさせてごめんなさい」


 お母様はわたしを抱きしめてくれた。


「ううん、わたし、ずっとアクアに守ってもらっていたから……でもお母様の記憶が……そこだけぼんやりしていて今もないの」


「わたしは全てを忘れてしまっていたの……だけどアクアがずっと貴女の話を聞かせてくれたの。わたしは知らない女の子のことをずっと聞いているのに不思議に楽しくていつもアクアに『その子は今日は何していたの?』『いつか会ってみたい』と言っていたの。

 火傷の治療はとても辛かっのに貴女の話を聞かせてもらうと元気が出たの……まさか自分の娘だとは思っていなかったのだけど」


「だってお母様……まだ20代にしか見えないですもの、こんな大きな娘がいるなんて思わないですよね」


「そうね、この世界に居るからわたしまだ26歳なの」


「……わたしと10歳しか変わらない?」


「ふふ、ここにはまだ2年しか居ないんだもの」


 それからわたしはお母様に今までの自分がどんな風に生活をしてきたか話し始めた。


 陛下は父親として接してくれたことがないこと。

 ヴィーがずっとそばに居てくれたこと。

 アニタ夫人のところの養女になったこと。

 昨日の王城での出来事。


 話したいことはいっぱいあった。


 お母様はそんな話をずっと聞いてくれた。








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