第一話

「毎度」そう言って黒髪の青年は現れた


「はじめまして」と後ろからもう1人茶髪の青年も現れた


「あなた方が夢デ叶え屋さん?」


「はい、あなたの願い叶えましょう。ただし夢ですが、それを現実と取るか幻と取るかはあなた次第です」


「夢なのに現実と勘違いする方がいるのですか?」

普通に考えてそれはないだろうと思った


「ええ、たまにいらっしゃいますよ。だからこそ自分達に依頼するのでしょう、ありがたい事です」


「死んだ人に会わせて貰えると聞きました」

彼らはその人の事など知らないだろうに、どうやって見せると言うのか


「はい、可能です。どのレベルにしましょうか?肉体有無、精神有無」


「肉体有無もですか?どういう原理で可能なのですか?」


「原理の説明は企業秘密です。あなたの願いはそれを知る事でしたか?」


「いいえ」

そうだ私はその為に呼んだ訳じゃない


「この子をお願いします」と写真を差し出す


「私の子供でした。キャンプへ行って目を離した隙に行方不明になってそれきり、もう1年になりました」両方有りでお願いします」


「高いですよ、肉体有ですと」


「構いません、お金ならあります」


「では、その子の身に付けてた物はありますか?できれば最近の物があれば」


「行方不明になった時の靴があります。形見に持ち歩くので」


「では、それをお借りします。準備でき次第、連絡しますので、前金で5万、終わりましたら残り5万お願いします」


「はい、ではこちらをどうぞ」と差し出して

「よろしくお願いします」


「はい、お任せを。早ければ今日明日にでも連絡します。ではこれで失礼します」と言い去っていく、もう1人の茶髪も「では、これで」と去っていく。


正直、騙されたのではないのか、詐欺ではないか、形見の靴は早く返してくれと、それがよぎるくらい、怪しい二人組としか言いようがなかった。けど、それにすがる私も私だ。たとえ夢でも会いたい、会って抱きしめたいと願う私の子供



「おおおおおお!久しぶりの依頼キタァぁぁぁぁ!」


「やったね!早くメシー、ラーメン大盛りチャーハン、餃子ー」


2人とも、三日ぶりに食事を取れて一息


「ぷは〜〜、あ〜幸せ感じるわぁ」と車の中でタバコをふかす黒髪の青年


「あ〜満腹って素晴らしい」と同じくタバコをふかす茶髪の青年


「ふぅ〜一息ついた所で、正吉、さっさと準備終わらせようぜ」


「え、もう?スー君」


「次の依頼きたら面倒だろ。いつでも受けれるようにしときたいんだよ」


「それもそうだね、んじゃ」と言い子供の靴を持ち、体が淡く光だす



ーすると、靴が写真の子供になった。これが正吉の能力、再現(自称)の発動だった

「に〜ちゃん達、誰?お母さんは?」


「俺らは叶え屋よ、母ちゃんは後から来る、それより、おまえの名前は?」


「のぞみ〜」


「んじゃ、のぞみちゃんよ。キャンプ行ってその後を覚えているかい?」


「ん〜と、兎さんがいたの!あのね、こんな大っきい兎さん、触りたくて追っかけたの、そしたらね、道に迷ってね、ほんでね、怖くなって泣いたの、そしたらね、知らないおじさんきたの、お母さんの所に帰ろうって言うから、ついて行ったの、そんでね、車に乗ろうとしたの、だけどね、また兎さんいたの。今度は小さかったんだけど、それを捕まえようと、走り出したの。そしたらね、靴脱げちゃったの、そんで転んで、泣いたの。その後はわかんない」


『え?』2人でハモる


「正吉、ちょいと能力ストップ」


「スー君、これってさ、もしかしてもしかするよね?」


「ああ、可能性としては低いが生きてる場合もあるが、問題は依頼人に伝えるか伝えないかだ」


「ヘタに伝えて、やっぱり死んでましたなんて、シャレになんないよね、、、」


少し考えこみ


「ん〜〜いや、どうせ会わせた時にわかるから伝えよう。それより正吉、一年分の映像を再現した事あるか?」


「ない。下手したら寝込む」


「だよな、、、日付指定なんて無理なのは知ってるしなぁ」


「だけど、やってみる価値はあると思う」


「やるのは正吉だから任せる。俺は依頼人と交渉してみる」


「うん」


「ーもしもし」


「はい、準備ができましたのでしょうか?」


「ええ、その事ですが、、、」


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