俺は絶対に諦めない

Unknown

俺は絶対に諦めない

肉体労働の日雇いバイトの帰りに俺は「すき家」の牛丼(並盛り)を食べて、真っ暗なアパートに帰宅した。牛丼は最高に美味かった。すき家はトッピングも充実している。働いた日は心が充実している。彼女が言った通りだ。俺は少し社会の役に立って、報酬を貰った。金を握りしめて、まだ俺は生きてていいんだと思えた。


俺は立派な大人にはなれなかったが、自分の境遇をドン底だとは全く思ってない。最低な人間だとは思ってない。下から数えた方が間違いなく早いが、俺は最低ではない。


だって少なくとも今の気分は明るいから。ロックを聴いて酒を飲んで冷凍の唐揚げを食ってるこの時間が超幸せだから。


強がりや誇張なんてない。俺はアパートで1人でダラダラしてる時間が幸せだ。


「おまえは底辺だ」と言われても「だからなんだ?」と返す。


俺は適当に人生を送りたいと思っている。恋人は欲しいが半分諦めている。俺が女友達に「適当に生きたい」と言ったら、彼女は「私は適当に生きている自分を許せないかもしれない」と答えた。真面目な子だと思った。いや、俺が世の中を舐め腐ってるだけか。


俺の高校時代の夢はニートになる事だった。その夢は叶えたのだが、ニートはニートで苦しい事ばかりだ。まず、ニートを愛してくれる奇特な人なんてほとんどいないから、愛に飢えるようになる。そして頭が少し狂う。ネット上にはニートや精神を病んだ人は沢山いるから、そういう人とだけ連むようになる。そうすると、世間一般の価値観や倫理観からどんどん離れた人間になって、より社会復帰が難しくなる。


例えば、俺はかつて仲良くしていた界隈の人から影響を受けて、市販薬のオーバードーズに手を出したり、アルコール依存症になったりした。


軽い気持ちで手を出した事が、一生涯のカルマになってしまった。でも死ななければ構わない。


ぬるま湯にずっと浸かってるのは、よくない。自分と同じ境遇の仲間たちと傷を舐め合うのも良いことだが、舐め合いすぎた傷は、細菌が入って化膿して腐ってしまうのだ。


だから、何事も「適切」であることが大事だと思う。


俺は最近エヴァンゲリオン初号機のフィギュアを買った。27.5センチの高さなので、結構でかい。超かっこいい。数あるエヴァンゲリオンの中でも初号機のデザインはかなり洗練されていると思う。カラーリングも最高にかっこいい。いかつい。一見、悪役のようにも見える。(実際エヴァンゲリオンは悪役みたいな側面もあるが、作品のネタバレはやめておく)


もし俺がヤクザになるとしたら、背中にエヴァンゲリオン初号機の刺青を彫る。周りからめっちゃバカにされそう!!!


悲しければ虚しければ楽しければ嬉しければ死にたければ、笑う。いつもそうやって生きてきた。自分に正直になんて生きられるはず無かった。


人前で見せる彼女の笑顔はとても輝いているように見えた。でも彼女も家に帰って1人になれば溜息をついて、とても暗い顔をしている。


孤独を感じない人なんて世の中に1人もいない。みんな孤独だから、誰かと繋がろうとするんだろ。


好きな女性に対してLINE等でキモい発言をしてしまう。この歳になっても俺は学ばない。


俺はあまり他人と繋がる才能がないが、分かってくれる人もいる。あなたのことが好きです。精神科の待合室から愛を告げる。


千の痛みを抱いて空を飛べ。


この世界は広い。学校、職場? そんな狭いコミュニティでの苦しみなんて忘れて、電車に乗って海に行こう。


最近、YouTubeで北朝鮮の内情に関する動画を見まくった。日本に生まれてよかったと心から思った。日本は最高の国だ。先進国の中では自殺率が高い国であるのも事実だが、「自分は無能でもいいんだ」と開き直ることができれば、自殺という選択肢は遠ざかっていく気がする。


俺の考えでは、自分に対して厳しい評価をしている人が自殺してしまうのだと思う。それに加えて、優しい人が死んでしまう。あとは、他者に自分の存在価値を委ねている人も自殺しやすい。


世界と真面目に戦うのが馬鹿馬鹿しくなって、俺は適当に生きるようになった。そしたら鬱は改善した。まだ俺はやれる。人生はヒットアンドアウェイが基本だ。薬は毎日飲んでいる。自己判断で精神薬の服用をやめるのは絶対アウトだ。


俺は今この瞬間も酒を飲んでいる。


ココナッツサブレというお菓子を今から食べる。


愛されないことに悩んでいる童貞の男がいるなら、俺はそいつに言いたい。勇気を振り絞ってソープランドに行けと。最低限の清潔感と礼節は必要だが、それ以外は何も要らない。「すいません、おれ童貞なんです」と言えば相手がリードしてくれる。


女性の温もりや愛を知らずに死んでいくのは、人生における大きな損失だと思うぞ。


はっきり言って俺は、彼女が欲しいという理由だけで生きている。生き延びている。


俺に性欲が1ミリも無かったら、俺の人生は今よりもっと味気ない物だったろう。


俺は恋愛がしたいと思っているが、社会的にうんこに近い存在だからモテない。


それでも、生きている限り希望はある。


彼女が欲しい。一緒に思い出をたくさん作りたい。連れて行きたい場所が何個もある。


くだらない願望かもしれないが、その願望だけが今の俺を突き動かしている。


俺の読者さんの中には「文学」が生きる理由になっている人もいる。


人間が生きる理由は、無数にある。なんでもいい。


自分が本当にやりたいこと、自分が本当に叶えたい夢。それらの断片を集めていれば、人生は今より豊かになる。


絶対に負けると知っている戦いであったとしても、絶対に戦わなきゃいけない時がある。


俺にとって、それは今なのだ。


俺は人生という化け物と戦う。自殺なんて糞食らえだ。


やっと戦う覚悟が出来た。






終わり

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俺は絶対に諦めない Unknown @unknown_saigo

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