第一章 夢幻(1)
狭い地下室に大人達の大声が響く。
ピエロの格好に扮し、コールを上げる男性。
大勢の大人達が声を荒げながら、片手に札束を手に持ち、八百万、一千万と次々と金額を叫ぶ。
首輪から鎖で繋がれがれ、両手首には手錠をはめられている。
「さぁ、皆さん!用途は自由!奴隷にするなり、労働、儀式の生贄などにお客様のご要望にお応えします。」
「なんで。なんで、こうなるのー!」
ーーーーーーーーー
晴天の青空。
ここは、エターナル・ガイア王国。
海が近い事から漁業が盛んな国で、市場では取り立ての新鮮な魚類や穀物、作物が露店で売られている。
たくさんの人間が行き交う場で、たくさんのフランスパンを籠いっぱいに詰めて、声を掛けながら、売る少年もいる。
上空を軽やかに走りながら、民家の屋根やビルを飛び越えていく少女がいる。
煌びやかなピンク色のウェーブがかった髪を風に靡かせながら、魔法学園に向かう。
私、ローズ・ケリー15歳。
一人前の魔法使いになったら、世界中を旅して、まだ見ぬ両親を探して再会を果たすのが夢なの。
広大な敷地を囲う学園の柵が見えて来た。
学園は、自然豊かで中世ヨーロッパを模した国内最大級で最古の魔法学園。
320年前ーーー。
この世界は、人間とヴァンパイアとの争いで、滅亡の危機に瀕していた。
そこで、ヴァンパイア女王は自らの死と引き換えに人間とヴァンパイアの共存を望み、人間の国王に進言し、承諾した国王は、国民の面前で、ヴァンパイア女王の心臓を銀の剣で貫いた。
そして、長い時が流れ。
人々の安全の為にヴァンパイアを含め怪物と呼ばれる異種族は、王国の管理の元、密かに息を潜めている。
元気よく高々に学園の柵を飛び越えると、真下に仲のいい相棒がいた。
「おはよう。イアン!」
ギョッとした目をしたイアンは、逃げる間もなく、私の下敷きになってしまった。
朝から騒々しい事に他の生徒達が驚きつつも、通りすがって行く。
イアンは、私をお構いなしに跳ね起きると、怒涛の如く怒った。
「いい加減にしろ!学園外での魔法の使用は控えるように言ってるだろ!」
相変わらず、無愛想で怒りん坊。
彼は、同じクラスメイトで友人のイアン・ホワイト15歳。
「遅刻しそうだったんだもん。」
反省の色が見えない私にため息をつく。
「ただでさえ、ローズは、トラブルに巻き込まれやすいんだ。だから、、、。」
イアンは、私の目を見て、肩に手を置き、真剣に話す。
「トラブルって言っても、たいした事ないでしょ!」
思いっきり、イアンの胸を叩いて笑い飛ばした。
まさか、覚えていないのか⁉︎
森の中で、魔法の練習と言って、大悪魔を呼び出した事や自分が風邪で寝込んだ時、ローズ特製の風邪薬を飲んで死にかけた事などを思い出して、ゾッとした。
それが、3日前の出来事。
まさか、彼女との出会いで、私の運命が大きく変わるなんて思いもしなかった。
ずっと、平和な日常を送るものだと思っていた。
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