第16話 KKモントレイユ
ッビュイン
という音とともに一線の光がクレタの方に放たれた。レーザーは小さなアルテミスをかすめた。
アルテミスのかけらが飛び散った。
気が付くとグリフ・ダークエルが冷たい目でこっちを見ている。ダークエルの右腕がこちらに向けられていた。
「戯言はそこまでだ。おとなしく『月の紋章』を渡せ」
苦しそうなアルテミス。
クレタは込み上げる怒りを押さえられなかった。
「うわああああああ――――――!」
雄叫びを上げダークエルに飛びかかっていくクレタ。
「死ね……」
ダークエルの右腕がクレタに向けられた。
その瞬間クレタの手のから眩いばかりの白と金色の光が放たれ、気が付くとダークエルの腕から血が滴っていた。思わずダークエルが腕をかばうようにしながら後ずさりした。
ジェーナとハレーが驚いてクレタに目を向ける。クレタの手に月の光を思わせる美しい剣が握られていた。
「覚醒したかクレタ……ダークエルといったか? おまえ、まだ、この者たちと戦うのか?」
後ろから、透き通るような一人の女性の声が聞こえた。
振り返るジェーナとハレー。
「だれ?」
ハレーが怪訝な表情で彼女を見た。
ジェーナが驚いた様子で彼女を見つめる。
「あ、あなたは……き、黄の国の正統な王家の血を継ぐ方」
その女性はクレタの手元の剣を見て、
「それは……いにしえの……ムーンフォレストの民が向こうの世界に封じた聖なるものだぞ。クレタ、お前の心が引き寄せたのか? それとも『月の紋章』が呼び寄せたか……」
その女性は傷ついたアルテミスに優しく触れ、なにか口ずさむ。優しい光がアルテミスを包み先程の傷が修復された。
女性はダークエルに目を向ける。
「おまえは黒の国の王家の血を引く正統な者ではないはずだが……そして黒の国に反乱を企てる者がいるとも小耳にはさんだのだが……おまえか?」
ダークエルは睨むように彼女を見る。
女性は何かを口ずさみ始めた。
「☽☆〇……〇☽☆……☆△……」
ハレーがジェーナの方を振り向く、ジェーナが怯えるように少し身体を震わせているのがわかった。
「なに?」
ジェーナが言葉を震わせながらハレーに言う、
「これは攻撃呪文でも、回復呪文でもない……」
「?」
「この呪文はいにしえの『ムーンフォレストの王族』に伝わる呪文……これは、召喚呪文よ」
次の瞬間、女性は天を指差した。
すると神殿の天井に満天の星が煌めく夜空が映し出された。星々の光がまばゆく渦巻き、その光の渦の中から、白と金色の光を纏った美しいドラゴンが舞い降りた。
ドラゴンはクレタたちの頭の上を一回りしたかと思うとクレタたちの後ろに降り立った。
後ずさりする様によろめくダークエル。女性はドラゴンの頭を撫でながら、静かに透き通るような声でダークエルに言う。
「まだ戦うのか? ん?」
書き手:KKモントレイユ https://kakuyomu.jp/users/kkworld1983
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