第一章 樹海の話


誰もが知る青木ケ原樹海の話。


ここは、普通に散歩道のある場所だが、そこから離れた場所には、不思議な話、怖い話があるという。


まずは、自殺の名所で有名な事。


迷い込んだら、二度と出られない。方角が分からなくなる……等々。


そして、ここに自殺を求めてきた者を待っている、殺人鬼。


自殺をしようとやって来た者に、とある人物が声を掛ける。


「死にたいのか?」


そうだと応えれば、今度は、こんな事を言い出す。


「じゃあ、殺させてくれよ。」


戸惑う自殺志願者に、更に、こう言う。


「どうせ、死ぬんだから。殺されても平気だろ?」


と。


話を聞けば、何とも不気味で怖い話だが、こいつは、何でここに居るのか?いつから居るのか?

自殺志願者を待ってるにしても、どこで生活をしているのか?方角の分からない樹海の中、こいつは迷ったりしないのか?

そんな疑問がいくつも浮かぶ。


だが、そんな事を挙げていると、ホラーなんて成立しないのだ。


だから、人々は、そんな話をこう話す。


「……らしいよ。」




青木ケ原樹海には、自殺志願者を待つ、殺人鬼がいる……らしい話。






ー第一章 樹海の話【完】ー

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