第50話 花火大会(前編)
「本日は!ご多忙の中お集まりいただきありがとうございます!
弊社は、ディメンションコネクト様とお仕事をさせていただき!とても!とても大きな刺激を受けることができました!
今後は!弊社から少しでも恩返しさせていただければと思っております!
今日はささやかではございますが!宴会の席を設けさせていただきました!
限られた時間ではありますが!少しでもご縁を深められたらと思います!
それではお手元に飲み物はございますでしょうか?
はい!よろしいですね!?
かんぱーーい!!」
結木課長が音頭をとり、屋形船での宴会が始まった
オレがひまちゃんにやらかした後、広報の方が何名か来て、すぐに出船となったのだ
屋形船の中は、長い机が船の前から後ろまで繋がっていて、左右に座布団が置かれていた
オレは真ん中くらいにいて、ひまちゃんは前の方、机の反対側にいる
「おじ、、新井さん、何かやらかしたんですか?」
オレの前には、こと様、その横に酒をあおってる島野マネージャーがいた
ひまちゃんは、結木課長と飯塚マネージャーの3人で話している
課長は、オレの失敗を取り返してくれてるんだと思う
「い、いや、、ちょっと、ひまちゃんと上手く挨拶ができなくて、、」
「そうなんですか、カッコわるいですね」
「そうだそうだ〜、新井はカッコ悪い!あははは!」
「ですね、、ははは、、」
このマネージャー、キャラ濃いな、、
「まぁ、誰にでも失敗はありますよ
あ、どうぞ」
「あ、そんなそんな、ありがとうございます
光栄です」
こと様がビールを注いでくれた
美少女の注いだビール
う、うまいっ!
心の中で喜んでおく
「パイセーン!!
さっきのなんすかー!
す!すごく!綺麗です!」
や、やめてくれー!
だれか!このクソガキをなんとかしてくれ!
「なにそれ?」
「さっき、あらあらパイセンがひま先輩にやってたことー」
「へー、、」
こと様にジト目で睨まれる
「いやー、、お恥ずかしい限りです」
「わたしのことは可愛い、で、ひま先輩は綺麗、ですか〜
そうですかそうですか〜」
あめちゃんが肘でグイグイつついてくる
「な、なにかな?」
「パイセンって美人系が好きなんでしたっけ?」
「いや、そんな、、滅相もない、、」
「ん?どういうことすか?
あー、女性の好みを聞かれるのが恥ずかしいんすね
シャイですねー、チェリーですか?」
う、うるさいなぁ、、
チェリーですけど!なにか!?
「ど、どっちかと言えば、、可愛い系の方が、、好きです」
「ふ〜ん」
「へ〜」
あめちゃんはニヤニヤと、こと様はジト目でオレのことを見る
「あ!新井くん新井くん!
すみません!あめちゃん、洲宮さん、新井くん借りていきますね!
新井くん!リベンジの準備はいいかい!」
「え?あ!はい!大丈夫です!」
オレは立ち上がり、課長について、ひまちゃんのところに向かった
「ちぇ〜、やっぱり、ひま先輩に夢中なんすね、、」
「そう言ったでしょ、、」
「べー!負け犬!」
「なんなのよ!あんた!」
「ことのアホ〜」
「むっか!」
オレの後ろがなんか騒がしいが気にしない
目の前のひまちゃんしか見えない
「緊張がほぐれたようなので連れてきました!
うちの新井です!」
「は!はじめまして!先程は突然失礼しました!
夢味製菓の新井と申します!」
何度も会ったことあるのに、変な感じだ
何度も会ったことあるのに、なんでこんなに緊張してるんだろう
「あ、はじめまして、花咲ひまわりです
よろしくお願いします」
ニコッと浴衣美人が微笑む
「よ!よろしくお願いします!」
オレは立ったまま大きく頭を下げた
「まぁ!座りなよ!積もる話もあるだろ!
彼は熱烈な花守りですので!
ほら!新井くん!」
「失礼します!」
「じゃ!あとは頑張ってな!」
「え?」
「私はあめちゃんのとこに行くから!」
「あっ、、」
結木課長は、もう限界だと言わんばかりにあめちゃんの方に向かっていった
「、、、じゃあ、私も他のマネージャーと仕事の話してくるわ」
「え?あ、はい、いってらっしゃい」
席を立つ飯塚マネージャーに、ひまちゃんは驚いていた
2人っきりになる
「、、、」
「、、、」
「、、ふふっ!さっきのなぁに〜?
急に綺麗、な、ん、て、言っちゃって!
ひまの浴衣にやられちゃったのかなぁ〜?」
ニヒヒー、といつものひまちゃんがあらわれた
「ご、ごめん、、事前に、ちゃんと演技しないとってわかってたんだけど、、
ひまちゃんが可愛くて、綺麗すぎて、、あんな風にしかできなかった、、」
「ふ、ふ〜ん、、
そうなんだぁ〜、、そっかそっか〜
うふふ!ありがと!あらとさん!」
少し恥ずかしそうにした後、ひまちゃんは満面の笑みを見せてくれた
「え?いやいや、失敗しちゃったし、、」
「ううん!そんなことより、すぐに綺麗って言ってもらったことの方が嬉しかったんだ!
だから!大丈夫だよ!」
正面のひまちゃんが、テーブルから乗り出し、オレの手をぎゅっと握ってくれる
「わわっ!?ここは握手会場でしょうか!?」
「あはは!なにそれ〜
はい!じゃあ!あくしゅ〜」
手を離されて、今度は右手を差し出された
おそるおそる、その手を握る
「いつも応援ありがとう〜ございます♪」
ぶんぶんと振り回され、パッと離された
あぁ!名残惜しい、、
「えへへ、、なんだか恥ずかしい、ね?」
自分から握手させてくれたのに、赤くなって照れている
「うん、でも、すごく感動した
ありがとう」
「あはは!ほらほら!飲んで飲んで!
それに食べよ!美味しそうだよ!」
「う、うん!そうだね!」
あ、、そうか、、
緊張してたのは、仕事でひまちゃんと会うのが初めてだからか
そうオレが気付いたのは、ひまちゃんといつも通り会話できるようになってからだった
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