第2話

家に帰ると、過去の幸せと悲しみが同時に蘇ってくる。


階段の隅で人に見られないように泣いてる少女がいた。


「・・・私、一人はいや。嫌なの」


一人は嫌と言いながら、一人でいる少女がいた。


「君なんで一人なのに、一人が嫌なの?」


「・・・っ、誰も一緒に居てくれないから!!」


女の子は反射的に言い返した。


「??そうなの?」


「そうなんだよ!!私は一緒に誰かと居たいだけなのに、みんなそれをうざがって、一緒にいるのが何でダメなの?何でうざいの?」


「・・・確かに」


「・・・?」


「・・・?」


よく思い出す。俺は確かにと頷いただけなのに、彼女のこれ以上ないくらいの驚いた顔


ーーー

それから俺達は可能な限り一緒だった。


「嫌だ!!家も一緒がいい」


「俺も一緒がいいけど、それは無理じゃん。あと春にもお父さんとお母さん居るし、俺にも妹が居るからさぁ」


「・・・でも、でも」


「大丈夫、また明日一緒に居ればいいよ。」


「・・・うん」


いつも、こんなやりとりをして不服そうに家に帰る春。

春は不服そうだけど、それ程まで一緒居たいと思ってくれることに俺は内心では嬉しく感じて居た。


ーーーー


「それでは、優くん」


「うん」


深夜1時、俺は寝るのが早いタイプだから正直寝たい。けど春は寂しくなるし、俺も春が安心して眠られるまで起きてあげたい。


「聞いて優くん??」


「あ、ごめん。少し寝掛けてた」


「もう、優くん私が寝るまで起きててよね」


「ごめん、ごめん」


ーーーー


そして、痴漢の冤罪にあった。


みんなが俺を敵意と避け始めて、仲のいい友達も家族と幼馴染もだった。


「最低だよ。」


「・・・信じてくれないのか?ずっと一緒に居たのに」


「ずっとじゃない、今回の事件私と一緒に居なかったじゃん」


「・・・それは」


いえなかった。今日は俺にとって大切な人が


「毎日、毎日この日はいつも一人で寂しかった。それに怪しいってずっと思ってた。」


「・・・本当に何かあるわけじゃ」


「だって、教えてくれないじゃん」


「・・・っ、」


「最低だよ。それで痴漢なんて、」


「違うんだ春、俺は」


そして、春は俺の聞く耳を持たずに、


ーーー


土下座した。もう、失いたくない。大事な人も信頼も


「本当に違うんだよ、春。信じてくれ」


「・・・信じないし、もう私の近くにこないでよ」


「違うんだって」


「優くんも孤独の辛さを味わうといいよ。」


「・・・春」


「・・・元から優くんとは一緒に居てくれるだけの存在だった。私には優くんしか一緒に居てくれる人が居なかったから。」


「そ、そんなぁ」


「だからね、私にとって優くん、なんて私を一人にしない為だよ。分かったらな、もう話しかけないでね」

ーーーー


俺の春への信頼や思いは全て砕けて思っていた。


だが、春の苦しむ顔と、過去の思い出と、確かに俺が言わなかったこと、冤罪になってしまったこと、


様々な思いが俺を複雑に駆け巡る。


捨てたい気持ちと、捨てきれないやりきれない気持ちが俺の中にある。


ーーー

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