第37話 会議
その帰り道で、ロラン軍と、剣聖軍が集合した。どちらも兵の数はかなり減ってしまっていた。
それを見てすぐにアーノルドは「よう。そちらも大変だったようだな」二人に向かって言う。二人とも肯定した。国に帰ると、その町は平和そのものだった。
「そっちには、魔王軍とか言うやつらが来なかったか?」
「魔王軍? 俺が見たのは魔物だけだぜ」
「そうか。てことは俺らの軍にだけ言ってたという事なのかもな」
そして、アーノルドは再び考え込む。魔王軍とはどういうことなのかを。
そして、そのうち、国に着いた。アーノルドはすぐに戦闘準備をしようとしたが、町のあまりもの平和さに、きょとんとした。
「これは、どういう事だ? 魔物に襲撃されていたんじゃないのか?」
先頭のアーノルドは分かりやすく戸惑う。なぜ、攻められた様子すら見えないのか。
「簡単だ、俺が守ったからさ」
それに対して、銀髪の男が声に出した。慎重派おおよそ百七十台中盤と言った感じで、背中に大きな剣を抱えている。見た目は所謂クール系というのが正しいだろう。
「ギルド長!!」
ルベンがそう言った。
「ああ、こっちは守ったさルベン」
「なるほど……」
アーノルドは、自分の顎を腕でさすり、
「あなたか、ルイス ブルリング」
「追ういう事だ。せっかく任務終えて美味しい酒でも飲もうと思ったのに、魔物が来たからびっくりしたぜ、おかげで戦闘尽くしで、もう体力限界だ。……それで、戦争に諮ったのか? 無事には見えないが」
「戦争に諮った。だが、魔王軍というやつが来てピンチに追い込まれたよ。この俺がいながら何という失態だ」
「確かにアーノルドさん、あなたがここまでやられるとは」
そう、ルイスは、四肢を包帯で巻いているアーノルドを見ていった。
「まあそりゃあ、こっちも連戦続きだからね」
そして背後からロランが来る。途中で合流したのだ。
「お前も座間あねえな、そんな傷を負って」
そう、傷がほとんどないロランが偉そうに言う。
「うるさいな。状況が違うんだ」
「そうだ、あまり偉そうにするな」
そして剣聖がアーノルドに加勢する。牽制もかなり傷を負っている。
「うるせえよ。俺はナンバーワンなんだよ。お前らより偉いんだよ」
「それとこれは関係が無いだろう。あまりそんな態度が過ぎると国王陛下に言いつけるぞ」
「ふん、国王と仲がいいからって偉そうに」
「別に、それとこれは関係が無い」
そして、隊長格の三人は王宮で事の顛末を聞く。それは、やはりというべき内容だった。戦争の相手国であるアスティニアはもう滅び、魔物の手の内に追いやられてしまったという事だった。
「やはりか」
剣聖は神妙な顔でそう呟く。
「ああ、ついでに言えば敵の方の残党もほぼ全滅したらしい」
「……そうか」
あくまでも生きている軍の中で降参を選んだ人たちは連れて帰ったが、それだけだ。国に帰る途中で他の兵は皆殺しにされたのだろう。
「俺もぎりぎりで逃げられたが、あと少し遅ければ俺もやられていた」
そう、偵察員が言った。
「今回の敵は本当にやばい。もしかすると本当に魔王を復活させるつもりなのかもしれない」
「ああ、あの十年以内に世界が混沌に包まれるという噂も気になるしのう」
そう国王、フィルターイングリティアが言う。
「これは、戦争をしている場合じゃないかもしれなかったなあ」
「それは相手から攻められてきたのだから仕方がないでしょう」
「それはそうだが」
「ねえ、お父さん」
そんな時、王女のロティルニアイングリティアが話しかけた。
「こら、今は重要な会議中だ」
「私も、未来の女王として黙ってはいられないもの」
「そうか、なら。見学していけ」
「うん!」
そして会議は過熱していく。
「それで問題はゲルドグリスティが名乗ったという魔王軍という名称だな」
そう、腕を組みながらロランが言う。
「ここで言う魔王軍とは、例の伝説上の魔王のことだろう。伝送により、間もなく災いが起きるという事もあるのだし」
剣聖が言う。
「そうだなあ。俺たちはそのゲルドグリスティら魔王軍の魔王の復活を止めることが最重要課題となるわけだな」
「そうだのう。奴らはおそらく手段を択ばないだろう。そうなれば、非道徳的な手も使ってくる。わしとしても国民を守れるかどうか……」
「……そうですね」
「それとだが、最近金の動きがおかしいという報告も入っています」
そう、経済方面を担当している大臣が言う。
「武器が、大量に買われているという情報です」
「なるほど」
つまり反乱の危機もあるという訳かと、その場の人達はうなった。
「まああ、そんなもん俺が蹴散らすだけさ」
その空気を破るようにロランが言う。
「確かにな。この国は終わらせるわけには行かない!」
そうアーノルドが呼応するように言い。それに剣聖もうなずく。
そしてその頃ユウナはギルドにいる。ギルド長のルイスが組織に関する良い情報を仕入れてきたのだ。今日(正確には先日)倒した支部に関する情報だ。そこに会った情報では、近くの組織にとある少女が完成体候補として捕われているというものだ。
「これってミコトの可能性ある?」
そう、ユウナは周りの人たちに訊く。
「ああ、その可能性が高い。時期を考えてもな」
「……私たちの次の目標が決まったね」
「ああ、そうだな」
そして次の依頼が決まった。
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