あやかし道具の配達屋さん

夢水 四季

あやかし横丁へ ようこそ

 私の名前は梅村まゆり。

 高校2年生。

 ただ今、京都で一人旅中。

 伏見稲荷大社に着いた。

 どこまでも続いていくような鳥居の中を歩いて行く。


 おかしい。

 いくら長く続いていそうだと言っても、終わりが来るはずだ。

 一時間以上歩いた気がする。

 鳥居の先が明るくなって、何か街のようなものが見えてきた。

 それは何処か昔の建物が並んできて、人も着物を着ている。

 何かコスプレ?人じゃないようなキャラクターも歩いている。

 こんな所に観光テーマパークなんてあったかなあ……。

 何だか、周りの視線が痛い気もする。


「ちょっとアンタ」

 鮮やかな着物姿の綺麗な女の人が話しかけてきた。

「え、はい」

「ちょっとこっちおいで」

「わっ、はい~」

 路地裏に連れて行かれる。


「アンタ、人間だろ?」

「え、勿論、そうです、けど」

「勿論じゃないんだよ、ここは人間が来るべき所じゃない」

「えっ、じゃあここは、何処なんですか?」

「ここは幽世、あやかし横丁だよ」

 何かのアトラクションに巻き込まれているのではなかろうか。

 ここは私もノッてやるしかないか!

「え~~、あやかし横丁⁉ どうりで妖怪みたいなのが沢山いる訳だ!」

「そうそう。早く出て行った方がいいよ!」

「え~、出て行くなんて勿体ない! 何か冒険とかワクワクすることが待ってるんじゃないの⁉」

「冒険がしたいのかい?」

「うん!」

「よし、気に入った! アタシの名前は乱歩! あんたは?」

「まゆり、です」

「ようし、まゆり、まずはこれ被って」

 そう言って乱歩さんは狐のお面を渡してきた。

 お面を被ると、乱歩さんは「付いてきな」と言って歩き出す。

 

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