第9話 ダンジョン
この世界にはダンジョンと呼ばれる場所が存在する。ダンジョンは魔物たちの住処だ。そこから無尽蔵に魔物が出現している。地上に出現している魔物は、そのダンジョンから溢れ出したものである。
これがダンジョンとして知られている知識だ。なぜ魔物が生まれてくるのか。そもそもなんのために存在しているのか。そういった所はまだまだ謎に包まれていた。
そして魔物だが、ダンジョンで死んだ場合は魔石と呼ばれるものを生み出し、それ以外の爪や皮、肉などは消えてしまう。
一方、地上にでてきた魔物の場合、魔石は発生しないのだが、爪や皮は残るというなんとも不思議な現象が起こることが確認されている。
「まあ詳細は紙に書いてあるんだがな。1ヶ月後、カレニア洞窟と呼ばれるダンジョンに決められた班で潜ってもらう。」
ツヅリは少しワクワクしている。知識としてダンジョンや魔物がいることは知っているが実物は初めてなのだ。ただ問題は班のメンバーだった。
ツヅリ
グロリア
ケーリー
フラン
この4人でダンジョンに行かなければならない。グロリアはなんとか顔はわかるがそれ以外は興味がなく名前と顔が一致しない。強いて言うなら女性ということだけはわかる。
「ダンジョンまでは1ヶ月、これから更に訓練は厳しくしていくからな!」
そこからの授業は先生の言った通り厳しいものになっていた。まあツヅリにとっては楽なものばかりなのだが。それが気に食わないらしい。グロリアのちょっかいが益々激しくなっていく。
(はー。少し面倒くさくなってきた。⋯⋯決めた。こいつはいらない。)
ある日、ツヅリに限界が来た。別に今まで怒りという感情が出てきた訳では無い。この程度のことで一喜一憂するほどでは無い。限界というのは今まで我慢してきたこと。ツヅリは色々と我慢を強要される生活にほんのちょっと息抜きが欲しかった。
グロリアのことは実際、羽虫のようにしか思っていなかった。害は無いが煩わしいだけ。羽虫を殺すのとグロリアを殺すのには何ら変わりは無い。
違いがあるとするならば、グロリアは殺した時の反応が良さそうということだけだった。
(ああ、そう思うとちょっとこの学園生活は楽しくなってきたなぁ。)
ツヅリは口元を歪ませる。だってこんなにも退屈しのぎになりそうなものが多かった。貴族、平民、強い教師に...王族。ツヅリにとっては肩書きの違いはあれどツヅリの興味を満たしてくれるものとしか思っていなかった。
「よし、全員揃ったな!それじゃあツヅリ、グロリア、ケーリー、フラン!お前たちの班から探索を始めろ!危険を感じたらすぐ帰ってくるんだぞ!」
ツヅリたちはダンジョンに潜って行く。荷物は洞窟に入った瞬間、全員がツヅリに持たせていた。グロリアは2人の女子生徒と肩を組みながら洞窟を探索している。
「ほら、さっさと行けよ!」
グロリア画先頭を歩いていたツヅリを蹴りつける。その姿を見て2人は笑っている。ドウヤラこの2人はグロリアの女らしい。それじゃあ試したいこともある。
(この2人はどうしようかなぁ。ああ...そうだ....)
ツヅリは計算しだす。この2人はどうしてやろうか。だが、そんな考えも急に止まる。少し開けた空間、道は一本道、ツヅリ達が向かおうとした道に1匹の魔物がいた。
二足歩行で筋骨隆々の体、人間に近い形をしているのだが、明らかに頭の形が人間の頭ではなく、牛の頭をしていた。そして右手には巨大な斧を持っており、地面に引きずっていた。
(あれはミノタウロス!この洞窟にも生息しているのか!)
ツヅリは実物を生で見れて興奮する。今からどうやって倒そうか考えていたら思考を邪魔される。またグロリアがツヅリを蹴ったのだ。
「お前はここで死ね。アースウォール」
グロリアは笑いながら魔法を発動させると、ツヅリが入ってきた道を塞がれた。
(あーあ、僕がやろうとしたのに...。まあいいや、こっちの方が動きやすい)
ツヅリは持っていた荷物をその場に捨てる。
「さあ、僕を満たしてくれよ」
ツヅリはミノタウロスと対峙するのだった。
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