第189話
王城でサイファーと会ってから数日が経った。
この期間、シュバルツ達は修行部屋で体を動かしつつそれぞれが好きに過ごしていた。
王城より使いの者がきていよいよ国王陛下との謁見の日を迎えた。
シュバルツは倉庫区画に保存していた剣をアイテムボックスに移してクロイツェン公爵家の馬車で王城に向かった。
爵位を持たないシュバルツは早めに王城に向かったのでまだ他の貴族やその代理人は来ていないようだ。
シュバルツを出迎えてくれたのはサイファーを訪ねた時に会った執事だった。
「すみません。国王陛下への献上品をお渡ししてもいいですか?」
「お預かりいたします」
シュバルツはアイテムボックスに入れていた剣を取り出す。
「確かにお預かりしました」
執事の人は余計なことは言わず近くにいた部下に運ぶように指示を出す。
「謁見まではまだ時間がありますがどうしますか?」
「若輩者ですから広間で待たせていただきます」
「わかりました。こちらです」
案内された部屋には一番高い位置に玉座が置かれかなりの広さが確保されていた。
シュバルツは部屋の隅で待機する。
謁見の開始1時間前ぐらいから爵位の低い貴族達が集まりはじめる。
部屋の隅にいるシュバルツに気が付いても話しかけてくる者はいなかった。
謁見開始の30分前ぐらいから残りの貴族達も集まりはじめる。
相変わらずシュバルツに話しかけてくる者は誰もいなかった。
謁見の開始10分前となり入室した全員が膝をつき頭を下げる。
そのまま待っていると宰相や大臣といった要職についている人物達も定位置に着く。
部屋の警護についていた近衛兵が扉を閉め部屋を静寂が支配する。
「リチャード・ド・マルセイユ陛下のおな~り~」
国王陛下が部屋に入ってきて玉座に腰を降ろす。
「皆の者。よく集まってくれた。面を上げよ」
シュバルツは膝をついたまま顔を上げる。
「今回集まってもらったのは先の戦争で多大な貢献をしてくれた者を評する為である」
先の戦争での評論はもう済んでいる。
部屋にいる貴族達がざわざわとざわつく。
「ごっほん。皆の者静かに。シュバルツ・フォン・クロイツェン前へ」
シュバルツは名前が呼ばれたので前に出る。
ざわめきがさらに大きくなる。
「シュバルツよ。何やら世に贈り物をしてくれたそうだな?」
「はっ。気に入っていただけたならよいのですが・・・」
「うむ。近衛隊長よ。送られた品は見たな?」
「はい。数もそうですが1本1本の出来も大変すばらしい物でした」
「戦争にて後方支援をしてくれただけでなく気配りもできるそなたに世から金十字勲章を贈ろう」
「ありがたく」
リチャードは玉座から立つと自らシュバルツに勲章を付けてくれる。
「今後も期待しておるぞ」
「この身の許す限りお仕えいたします」
リチャードは満足そうに頷くと玉座に戻って行った。
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