第171話
シュバルツの兄妹達が滞在している間は迷宮に潜ることが出来ない。
ということで、シュバルツ達は修行部屋にやってきた。
ここなら時間が経過しない為、十分に体を動かすことが出来る。
それぞれ素振りをしている。
シュバルツに関しては武神のアシストまで使っていた。
「シュバルツ様。何かありましたか?」
そう声をかけてきたのはフランだった。
「アルツェン兄様に負けてね。年齢のことを考えれば当然だけどそれが悔しくて」
「次期当主様ですか・・・。クロイツェン公爵家の内情を考えれば当然ではありますが・・・」
「父様も強いけどアルツェン兄様も化け物だったよ・・・」
「焦らずに頑張れば追いつけますよ」
「ありがとう」
「私もシュバルツ様に負けないように頑張らないといけませんね」
「フランも十分強いと思うけどな」
「私はシュバルツ様の護衛ですから。護衛対象より弱いわけには・・・」
どうやらフランにも譲れない思いというのがあるらしい。
「お互いに頑張ろうね」
「はい」
そこからはフランは真剣な顔で素振りをはじめた。
フランの剣は騎士として正当な物だ。
それに対してシュバルツの操る剣は一貫していない。
だが、世界最強の剣でもある。
その理由は武神があらゆる流派の優れている部分のみをアシストで教えてくれているからだ。
だが、その全てを生かしきれていないのも事実だった。
武神の求める身体能力にシュバルツの身体が追いついていないのだ。
「シュバルツに武神から伝言があるのにゃ」
「何かな?」
「しばらくは足を中心にトレーニングをするのにゃ」
「足を?」
「シュバルツと兄君の戦いを武神も見ていたのにゃ。一番の課題はスタミナ不足と言っているのにゃ」
「なるほど・・・。確かに最後はスタミナ不足で負けたからなぁ・・・」
「脚力は全ての基本にゃ。頑張るのにゃ」
シュバルツは素振りを止めランニングを開始した。
が、足が勝手に動く。
どうやらランニングでも武神のアシストは有効らしい。
効率的な動きを教えてくれているようだ。
アシストに従って走るように心がける。
だが、走るペースがかなり速い。
これではすぐにスタミナが尽きるだろう。
その予想は当たっておりシュバルツはすぐに動けなくなった。
「お疲れにゃん。今のペースを維持できるようになるまで頑張れとのことにゃ」
「はぁはぁ・・・。これはかなりきついことになりそうだ」
「これでもかなり手加減してると言っているのにゃ」
「前から思ってたけど武神ってスパルタだよね?」
「ん~・・・。一種の天才だからにゃぁ・・・。自分の技を受け継いでくれるかもしれないってことで期待してるのにゃ。許してやってほしいのにゃ」
「出来るだけ頑張ってみるよ」
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