第156話
シュバルツ達は、いつものように迷宮に戻り城に戻ってきた。
そこで、意外な人物に出迎えられた。
「ようやっと戻ってきたか」
「王太子殿下・・・」
「お前と私の中だろ?」
「いえ、人目もありますから・・・」
「お前はやっぱり真面目だな」
「それで、どうしたんですか?」
「後任も決まって、王都に戻るんだよ。表向きはずっと支えてくれた、迷宮都市アリスへのお礼だな」
迷宮都市アリスは旧マールタル王国領への支援をしてきた。
サイファーが来たのは不思議でも何でもない。
「ところで、厄介な連中に狙われているようだな」
「どこからその話を?」
「私の方で、手は打っておいた」
「どんな手を・・・?」
「簡単なことだよ。国政は綺麗ごとだけではどうにもならないことも多い。王家は様々な組織と繋がりがある」
どうやらその繋がりを使って、暗殺集団カラスに連絡をしてくれたようだ。
「ありがとうございます」
「いや、お前の活躍に対してこんな事程度では到底、釣り合っていないさ」
「いえ、母様と妹の安全が確保されただけで十分です」
「バタバタしてすまないが、そろそろ失礼させてもらうよ。予定が押しててな」
どうやら、シュバルツ達が戻ってくるのを無理をして待っていたようだ。
「何か、困ったことがあれば言ってください。出来る限り力になりますから」
「そう言ってくれると助かるよ」
サイファーはそれだけ言って去って行った。
シュバルツは祖父であるオグワールの元を訪ねていた。
「お爺様。この国の政治状況を教えてください」
「ふむ・・・。構わないが、何を知りたい?」
「王太子殿下の立場はどうなっていますか?」
「今のところは、王太子殿下が次期国王としては最有力じゃな。じゃが、敵対派閥がいないわけでもない」
「敵対派閥ですか?」
「本人はやる気がないが、妹君のミュール王女の親族あたりが騒いでおるな」
「本人にやる気がないのでは意味がないのでは?」
「そうでもない。傀儡にして国を自分の意のままに操りたいと考えておるんじゃよ」
「国王陛下は何も言っていないのですか?」
「ミュール王女を可愛がっておられるからの。自分の意志を貫く強い意志を持ってくれればいんじゃがな」
「なるほど・・・」
「それにお主も無関係ではないぞ」
「どういう意味ですか?」
「ミュール王女の母であるアルテシア妃の妹がうちに嫁いでおる」
「義母の1人ということですね」
「そういうことじゃ」
王家と公爵家にそれぞれ繋がりを作るとは中々、野心的な家らしい。
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