第6話 ハートのクイーンって誰?

 パートの休憩時間。

 休憩室のテレビに映るその姿。

 見覚えがある気がして、美しい眉間に上品なシワを作る美魔女。

 今話題のイケメンの像。


 急に、会いに行かないと、

 どうしても会いに行かないと、

 思い出せない忘れ物の様に、心がささやく。


 そのまま、レジのお仕事を早退、

 普段は、眩しそうな視線を送る店長さんの残念そうな表情を振り切り、

 その場所へ。


 知っている、

 そのイケメン。

 その顔。

 その姿。


 思い出せないその姿。

 熱く、ときめく胸。

 久しぶりの昂り、

 あの懐かしい恋の様な

 身体を火照らすこれは……。


「それは、恋。あなたは、あの男子にかつて恋した。そして、その記憶は、私が奪った」


 耳元で、囁く声。

 振り向いても姿は、見えず。


「あなたは、誰?」


「私は、クイーン。ハートのクイーン」


 聞き覚えのある、声。


「彼を助ける方法が、ひとつあるわ。あなたが自身の身体を熱に変える事。スペードエースの氷も1人分の質量を熱に変えると溶ける。でも、そこで、あなたの命は、終わる。決めるのは、あなた」


 いつの間にか手の中には、ハートの2のカード。

 胸に近づけて……。


 吸い込まれていく、ハートの2のカード。

 蘇る記憶と確かな熱き思い。


『愛とは、決して後悔しない……事』


 昨日テレビで観た、昔の映画のセリフを胸に、飛び込むハートの2。

 白く輝く彼女の発する熱に、溶けていくイケメン。

 イケメンの凍りつく時間、再び流れ出し、


 そのお腹、ポンッ!


 氷を砕き。

 オッチャンに戻る。


 ハートの2の最後の笑顔と、

 ため息のイケメンファン、

 共に去りゆく。


 パスタの国から、

 その心、

 その魂、

 肉体に帰還。


 オッチャンの手の中で、ハートの2の最後のひと粒。

 輝き、散る。


 ハートのクイーンその場をそっと去る。

 謎の美魔女。

 

 入れ違う様に、スペードのエース降臨。

 

 いきなり、

 スペードのカード軍団、

 オッチャンを囲い込む。

 

 右手に、サイズアップしたフォーク、

 左手に、サイズアップしたスプーン。


 共に、腕一本の長さまで長くなった、フォークとスプーンの二刀流。

 ただし、オッチャンの腕は、短い。


 それでも、バッタバッタとなぎ倒し、スペードマークにケチャップ攻撃。

 

 これぞ訓練により身に付けた秘技その1。

 ナポリタンショット。


 マークを赤く染められたトランプの戦士たち。

 スペードカードの戦士から、

 元の乙女に戻る。


 この世に、赤いスペードマーク、見当たらず。

 意外と常識を重んじるカードの戦士。


 彼女たちの顔から地に落ちた、ベネチアンマスク。

 カードに、戻る。

 カード、空中に浮かぶのエースの手の中に、飛んでいく。


 乙女たち、

 そのまま、アイドルグループに負けず劣らず、可愛く。

 やり手のスカウトマン

 早速、交渉、始める。


 パスタマン、いやオッチャン。

 アイドルデビューのその時には、

 写真集を買う、

 決意を胸に。


 そっと、

 水着ビキニのショットもお願いと、

 願う。



 左手のスプーンを投げると、

 大きくなるスプーン。

 に、飛び乗るパスタマン。


 スノーボード?

 いいえ、

 スプーンボード?

 とにかく……、

 ネーミングセンスの無い作者


『申し訳ございません』

        (^_^;)サクシャ


 空飛ぶスプーンに乗る、パスタマン。

 高速で空を駆け巡る。


 そのまま、ミサイルの様なスパゲティの乾麺攻撃。

 スペード、エース。

 氷の盾で、軽く防ぐ。


 空飛ぶスプーンアタック。


 エースは、加速世界へ突入。

 スプーンアタックをかわしたつもりだったが、腕をかすめる。


 怒りに飲まれるスペードのエース。


 巨大な氷の槍無数。

 パスタマン危うし。


 しかし、訓練により身に付けた秘技その2。

 エキストラヴァージンオリーブオイルアタック。

 パスタマン、頭からオイルをかぶる。


 氷の槍全て、

 突き刺さらずに、

 滑っちゃう。


 ちょっとベトベトのパスタマン。

 しかし、効果は大。


 パスタマン、

 ベルトのバックルの砂時計。

 いや、チーズ時計。

 回転させる。

 クルクル、

 クルクル。


 切り札を切る。

 

 モード、

 アンチョビー。


 この世の全てよりも速く、

 時間まで、置き去りにする、

 アンチョビーモード。


 スペードエースを指差し、

 パスタマン、

 格好良く決めゼリフ。

 

「ザ、ワールド」

     (^_^;)オットット


『間違えました』

     m(_ _)mサクシャ


「アンチョビー」


 スペードエース。

 切り札の

 絶対零度ビーム発射。


 アンチョビーモードのパスタマン。

 ビームを追いかけ、追い越し、

 鏡面加工済みコンキリエで、反射。


 それにしても何故ビーム?

 鏡面で、反射出来ない冷気なら、

 自分に返って来る事もなかったはずだゼット。


 加速世界のスペードエース。

 かろうじて、直撃避ける。

 かすめる、ビーム。


 そのミニスカワンピ、

 その体積消す。

 下着、

 その体積消す。


「イャ〜ン、もう戦えない」


 意外と、初心なスペードエース。


 パスタマン、

 イケメンチェンジ。

 その上着、

 スッポンポンのエースに、

 元、アリスの白ウサギの最強戦士にかけてあげる。

 元、スペードエースの乙女の目にハート生まれる。


 ただの乙女に。

 告白の時、

 来る。


 ポンッ!


 しかし、その時。

 イケメン、

 オッチャンに戻る。


 告白の相手を見失う、

 元、スペードエース。

 現、初恋に戸惑う乙女。


 夕陽の中、

 去りゆくオッチャンの姿に、

 トキメク胸。

 その意味がわからず、

 輝く若き時を彷徨いの中過ごす、

 少女。

 ここにも、また、

 ひとり……。


        (⁠。⁠ŏ⁠﹏⁠ŏ⁠)アワレ


 あれ!お嫁チャン、

 どうしたの?

        (^^ゞワスレテタ


 

 『忘れていましたョ編』は、これにて終了。

 また、いつの日か、

 『慌てて書き足しましたョ編』で、お会いしましょう。


      m(_ _)mホントニワスレテマシタ


 




 



 

 

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