雷突く音々〈rai-tsuku-neon〉

くことが少し怖くて

ひたすらに手を動かした


紙面を走る黒炭も

無機質に踊るキーボードも


エアコンの風よりも騒がしく

籠の中で競い合っている


同じ方向を見つめていても

とまれる枝も 山頂も

先細っていくものなのだから


誰かのエンターキーのさえずりが

どこか破れたように聞こえるのは

きっと 間違ってはいないのだろう


煌々とした闇の中で

息を忘れてしまうから

視界が明るい水中と

現在いまはたいして変わらない


願うのは

ひと振りの雷か

降り注ぐ雪雷せつらい


痺れてしまってもいい

もう 指先ひとつ止まれないから


鼓動を揺るがす轟雷よ

真っ暗な光の幕を引け


焦がし 沸かし

現在いまを貫き 明日を見通せ


たとえ無辺の一穴だとて

明暗転じた現在きょうなのだから









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