ドラミング
カカカカと 鳴る木の音が
森の奥から響いてくる
翼をもつ彼の好意が
彼女に届いているのかは
ヒトの僕には無縁だけれど
木を 石を 穿つほどの意志は
僕には無いものだから
彼自身を証明する その音を尊敬する
実は 木を突く名前は通称で
本当の名前はアリスイと九種のゲラ
だとて 翼をもつ彼からすれば
ただ 彼女に届きさえすれば
ヒトの名づけは不要だろう
強いくちばし 長い舌
風船ガムはふくらまない
不器用だとすれば なんだというのか
彼自身を貫き通す その音を尊敬する
彼が去った その後も
音が消えた その先も
穿った穴は そこにある
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