天秤

お膳立ての上に腰掛けて

号令だけを求められ

責任という名の肩書は


口に運ぶパンのひと欠片

運ばれてくるスープの湯気に見る

民の汗より重いのか

麦ひと房より高いのか


耕し生きるその糧の

基盤は机上で敷こうとも


森を拓き 鍬で起こす

盤上よりも高く繁り

盤上よりも広大な

彼方な大地の民を見ず

果たして栄え続くのか


我が生業の重さとて

万人の手には余るもの

しかし七日鍬持てば

二度と立てずに枯れるだろう


我が身の重さに種もみを

種もみの価値に我が責任を


天は揺れ

秤も揺れ


収まらぬからこそ

机上の先の 基盤の先の

目線高すぎるなかれ

低く頭垂れるなかれ


揺れ動く時の勢いに流されぬように

互いの皿を見つめ 会食の友たれば



 



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