九十九の複眼 2nd season【詩集】

つくも せんぺい

世界は日によって彩りが違うもの

語り部は遊び場を求めて戻ってきた黒猫

二回目なんてないからさ

……しぃー


やぁやぁ 物語が終わったあと

残響と余韻の狭間はざまにようこそ


カーテンコール スタッフロール

もう機材すら残ってない

まっ暗になった劇場の

君の席

どこだか覚えているかい?


キスと歓声の締めくくりハッピーエンド

悲願を叶え瞳を閉じ眠っても

別れと敗北を美談と受け継がれても


それはそれで一つの終幕


……なのになんでここに居るのかって?


ヒットをしたなら二作目……

なぁんて そんなことじゃなくて

ただ 遊び場を探してさ


キミの世界も

ボクの世界も

生きっぱなしの一度の物語いのち


閉じたのなら 開かない

例外のない 一枚だけの入場券チケット


始まりと 終わり

点と点を結ぶ線の長さは決まっていて


でもさ でも


――何回だって始まりの あの気持ちを


そう思うことは ない?

ボクはあるんだ


つまずいてケガした帰り道も

夜ケンカしてちょっと低い声のおはようも

賞をとった夏休みの工作も

明日が楽しみで眠れなかったおはようも


ぜんぶ ぜんぶ大切で


そんな些細なことだって

いまを 新たな開幕に

いまを 新しい遊び場に


一緒に始めないかい?

二回目の今日なんて来ないボクとキミ


人生と猫生ものがたりを望むなら 何度も迎えられる


Re:スタート


さぁ 幕が上がるよ




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