第18話 若さとS級

しかし…俺がエロゲーみたいな事をするなんて思わなかったな…


しかも猿みたいに…


俺の前世での憧れは『ギャルゲーやアニメのお母さん』


所謂、清楚な感じだ…


そういう意味で、まさにルミナスさんはドストライクだった。


まるで自分の憧れの2次元の女性が目の前に現れたような気がした。


最初、俺は一緒に暮らして貰えるだけで良い…そう思っていたんだ。


だが、理想の相手を目の前にして俺は…


どう考えてもギャルゲーじゃなくてエロゲーじゃないか…


まさか、俺が此処迄の性欲魔人みたいな奴だなんて思わなかった…


ルミナスさんは包容力があり、嫌な顔しないで受け入れてくれたけど…これ人によっては引かれるよな…


だけど、良く考えたら…俺が非エロのギャルゲーの母親やアニメの母親に憧れたのは38歳。


だからこそ、女性の理想がヒロインから母親に代わった。


その理想は未だに変わらない。


だからこそ、その理想そのもののルミナスさんに一目ぼれしたんだ。


だけど、よく考えたら38歳の俺は…枯れていた。


何となくだが、あっちの方の欲もなくなっていた気がする。


そう考えたら、38歳の理想を持った15歳の性欲を持った男。


それが俺なのかも知れない。


猿になるわけだな…もしかして今の俺なら熟女物のエロゲーすら受け入れたのかもな…


まぁこの世界はエロゲー以前にパソコンが無いから解らないけど。


◆◆◆


『リヒトくん、いい加減働こうか?』


『駄目よ! 若いんだからちゃんと働かないと』


ルミナスさんに言われた…


確かにその通りだよな…部屋に籠って犯りっぱなしじゃ言われるよ。


ルミナスさんは真面目な性格だし…


だけど、そう言いながらも顔を赤くしてモジモジしていた。


きっと『年上だからしっかりしないと』そう思って自分の感情を押さえて言ってくれたんだと思う。


『しっかり働いて見せれば良い』


そうすれば全て問題ない。


ルミナスさんも皆も大きな勘違いをしている。


『基本、冒険者は怠け者かお金の亡者しか居ない』


絶対とは言わないが…上級ランクの冒険者の多く、貧しい少年が憧れる冒険者はそれだ…


皆も見た筈だ、大物を狩って祝杯をあげる冒険者。


金貨を分ける冒険者…


物語の主人公や勇者は世話しなく働くが…他の冒険者は割と暇そうだと思わないか?


俺の憧れは『怠け者で稼げる冒険者』だ。


そうじゃなければ、このジョブなら騎士にでもなるって…


カイト達と居た時も頭の中で『レベリング、レベリング…』そう歌っていたから、全然腹が立たなかった。


さて行くか…


◆◆◆


冒険者ギルドにきた。


「あれとこれと…まぁこんな物か…はい」


高額依頼と塩漬け依頼の2枚を剥がしカウンターに持っていった。


「リヒト様、これ本当に受けるんですか?しかも2件もあぶないですよ…」


「俺はS級のリヒトだ、余裕だよ」


「冒険者の命は自己責任…反対はできませんが気をつけて下さい」


「大丈夫」


◆◆◆


ワイバーンの岩場


「行くぞ!ワイバーン、俺の幸せの為の糧になれ、付与魔法ウィンド…空歩」


俺は剣に風魔法を纏い、空歩という空を歩く技術でワイバーンまで近づいた。


「ぐわぁぁぁぁーー」


仲間が居た時には使えない魔法を試す。


「バサーカー」


体が熱くなり思考が鈍くなり…ワイバーンが物凄く憎くなる。


これは掛けると自動的に解けるまで自分でも解けない。


切り札ように編み出した俺のオリジナルだ。


「ふふふっあははははっ死ね死ね死ねーーーっあはははっ皆殺しだーーっ」


「ぐわぁぁぁぁーーー」



まるで他人事のように見える。


ワイバーンがまるで只の鳥のように斬り伏せられ死んでいく。


A級冒険者でも難しいというワイバーンがまるで相手にならない。


「あはははっあははははははーーーー死ね、死ね死ねーーーたかがドラゴンのなりそこないの癖に生意気なんだよ、何が亜竜だ…」


段々意識が薄くなり、視界が血で染まったような光景になった。


気が付くと目の前にはワイバーンが12体転がっていた。


俺は、勇者パーティだから大きな収納袋を自前で買って持っていた。


ワイバーン12体は簡単に収納できる。


え~とワイバーンは1体辺り金貨120枚(約1200万円)だから金貨1440枚(約1億4400万円)結構稼いだな。


◆◆◆


俺は今日働いたら暫く働きたくない。


折角、最高の美女と暮らせているのに…


流石に、肉体関係ばかりはどうかと思うが…俺は、働かないでイチャつきたいんだ…


だからこそ、幼馴染に馬鹿にされても食いつき強くなった。


勇者パーティについていき、暇な時間もひたすら訓練したんだ…


事務仕事に雑用…食事…それは離れたあと豊かに暮らしたいから、修行した…そう思えば、カイト達のマウント等気にならない。


甥っ子や姪っ子みたいな人間のマウントなんて前世の厳しい会社生活に比べたら、何ともない…


敢えて言おう『俺は一生分の苦労をあそこでしたから、もう真面(まとも)に働かない…んだよーっ』


その位良いだろう?


少し才能に恵まれた奴が、序盤とは言え勇者達と肩を並べて戦う位の力を手に入れたんだ…上級魔族には多分通用しないけどな…


その努力は解ってくれるよな…


『俺は此処迄死ぬ程努力した…だから、大好きな人ともう遊んで暮らすんだよ』


オーガの集落


「行くぞオーガーーっ、俺の幸せの為に死んでくれーーーっ! バサーカー」


再び視界が血の色に染まった。


「死ね、死ね死ねーーーーーっ」


他人事のように俺の声がこだました。



気が付くと目の前には無数のオーガの死体が転がっている。


ふぅ…全部で22体か、大した実入りじゃ無いな。


1体金貨40枚(約400万)だから単純にして金貨880枚(約8800万円)


まぁこれだけ、稼げば充分だな。


◆◆◆


「早速狩ってきましたので査定お願いできますか?」


「はい、それではカウンターに出して下さい」


「俺の依頼はワイバーンとオーガの討伐だから、此処じゃ無理です」


「あっ、そうでしたね…それじゃ倉庫へ、大物なのでギルマスも呼んできます」


「それじゃ、倉庫で待っていますね」


「はい、すぐに参りますので出してお待ちください」


「了解…」


ワイバーンが1体…ワイバーンが2体…ワイバーンが3体…眠れない時に羊を数える様に出して積み重ねていく。


ワイバーンが4体…(略)ワイバーンが12体。


結構、倉庫が一杯になってきたな…まぁ良いか。


オーガが1体、オーガが2体…(略)オーガが22体…


ふう、全部出し終わった。


もう倉庫も一杯だな…


「ぎゃぁぁぁーーなんですかこの量は…」


「一体、こんな数どうやって狩ったんだ…」


それが出来るからS級。


世界で10人程度しか居ない存在なんだぞ…と。


「だってS級ですもん」


これで良いよな…


「S級…リヒト…ああっ『英雄リヒト』」


「ギルマス、様、様つけて…呼び捨ては不味いです」


「気にしないで良いよ、勇者パーティから追放されたから、別に呼び捨てでも構わない」


「そ、そうか…だが、これ程の討伐と素材の代金…討伐代金は兎も角流石に素材の代金まで払うだけの金はギルドに無い…すまないな」


「いや、支払いはゆっくりで構わないよ、そうだな6か月位あれば良いかな? 素材は亜竜やオークだから結構高く売れるんだろう…これならどうですか?」


「いや、そうしてくれると助かる…ついでに悪いが討伐報酬も3日間だけまってくれないか?」


「別に良いですが、その代り、討伐証明を作成してくれませんか、金額入りで…」


「まぁ、その位構わないけど、またどうしてだ」


「はははっ、妻に見せないとならないんです」


「解りました…直ぐに用意します」


「あと、大量討伐のお祝いとして報酬の中から金貨10枚出しますので今夜は併設している酒場を飲み食べ放題にして下さい」


「助かる、リヒトからだと言っておくぜ」


そういえば、カルミーさんはどうしているのかな?


この街を拠点に暮らしている筈なのに、まだ見かけていない。


まぁ、此処を拠点にしているから、そのうち会うよな。


「それじゃ宜しくお願い致しますね」


俺は、討伐証明を発行して貰うと冒険者ギルドを後にした。


◆◆◆


「ただ今~ルミナスさん」


「リヒトくん、お帰りなさい…随分遅くまで働いていたのね」


こんな遅くまで。


ちゃんと働いてくれて嬉しいけど…こんな遅くまでは少し寂しい。


此処暫くずうっと傍にいてくれたから…ただ傍に居ないだけで不安になるし…寂しい…


私っておばさんの癖に…贅沢だ。


全然大人じゃないわね。


「それでね、これ見て」


「なぁにリヒトくん」


「討伐証明…凄いでしょう、ワイバーンにオーガを沢山狩ってきたんだ」


「凄いね、流石だわ…驚いた」


これがS級…そういう事なのね…


「この討伐量や報酬ってAランクで1~2年分位、D級以下なら一生分の討伐報酬になるんだ」


「凄い」


「それにね冒険者は大きな仕事をした後は暫くは仕事しないんだ、俺頑張ったよ」


「リヒトくん、なんだか目が血走っているよ...少し落ち着こうか? そうだ疲れたでしょう…お風呂入ろう…ね」


「それじゃ、ルミナスさんも一緒に入ろう」


「リヒトくん、それはちょっと恥ずかしいわ…ほら私おばさんだし…」


「ルミナスさんはおばさんじゃないし…綺麗だよ…だから入ろう」


「そう…解ったわ…」


これじゃ拒めないし…


S級って反則じゃない…


だけど…もう良いわ。


こんなに愛してくれているんだもん…


もう考えるのはやめよう…


この生活は、女として嬉しいし気持ち良い…もう良いわ、このまま流されちゃって…私も楽しんだ方が良いわ。


「ルミナスさん…」


「もう、リヒトくんが悪いんだからね…今夜は寝かせないから」


誰が考えても女として最高の生活…愛し愛される生活。


私も…受け入れて楽しむ事にしたわ。


そう考えると…うんうんリヒトくん、赤くなって可愛い。





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