第14話 お盆休みも終わりですわ!

ニコニコとおはぎを食べているエリカお嬢様を横目に首を傾げる。

このお嬢様はなぜにこう季節に合わせて食べ物を仕入れてくるのだろう、まるで某磯野家のように1年を通じてその時期に合った食材を口にしている。

私もお裾分けと称して1つおはぎを頂いた、なんでもおはぎには「魔除け」の効果がなんたらと説明を受けた、あんたの中身はお婆ちゃんか。


ちなみにおはぎと牡丹餅の違いを聞いてみたが、どっちも同じものらしい、季節ごとに春は牡丹餅、秋はおはぎと呼ぶらしい、その詳しさに益々中身お婆ちゃん説の疑惑が深まった。


大体が先月の七夕にそうめんを食べてる時も同じ事を考えていた気もする。



ミ〜ンミンミンとセミが鳴いている。



ニコニコ、ツルツルと素麺を啜るエリカお嬢様、なんでも七夕の日には素麺を食べるものらしい、初めて知ったわ。七夕が中国から伝わった際にそうめんの起源である索餅さくへいも一緒に伝来した、索餅は小麦粉のねじり菓子で素麺と形が似ているらしい、さらに素麺は織姫の織り糸を連想させることから、七夕には素麺を食べるようになったのだそうだ。



チュルルン


う〜ん、お父様がお中元で頂いた三輪素麺は非常に喉越しが良くて美味しい、その上1束に1本だけ入っているピンク色のお素麺はまるで当たりを引いたようで嬉しい気持ちになりますわ。


「一杯有りますから、戸田も好きなだけ持っていっていいですわ」



「ありがたく頂戴します(えっ、いいの、三輪素麺ってお高いんじゃないの、お父さんも喜ぶわ)」


素麺が美味しいのか、機嫌の良さそうなエリカお嬢様に疑問をぶつけてみる。


「そう言えば、素麺と冷麦の違いってなんなのでしょう?」


「あぁ、あれは太さの違いですわ」


即答である。


「太さ?」


「ええ、麺の直径が1.3mm未満のものをお素麺、1.3以上1.7未満の太さを冷麦、それ以上をおうどんと言うのですわ、昔はお素麺は糸のように伸ばしたもの、冷麦は細く切ったものと製法の違いもありましたが製麺機の普及した現代では主に太さで分けていいですわ」


「へぇ〜、勉強になります」


「あっ、でもお素麺でも手延べのものは太くてもお素麺と呼ぶこともありますわ」


そう言って薬味のみょうがを麺つゆに追加するエリカお嬢様、本当に食べ物の事に関してはお嬢様はお詳しい。

後、昔は冷麦にだけ入っていた色付きの麺も、今では素麺にも入っていて楽しいともおっしゃていた、何歳だっけこの人?

勉強にはなったが食べ物にそれほど興味の無い私は、しばらくしたら忘れそうだ、そうしたらまた聞けばいいか、多分笑顔で答えてくれるだろう。



チュルルン


「う〜ん、やっぱり三輪素麺美味しいな、業務スーパーの100円素麺とは喉越しが違うわ」

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