第53話 俺とは一体なんなんだ
巨大
俺は頑張っているエルフィンドールズの二人を見て、気合いを入れる。
俺の周りには、俺レッド、俺ブラック、俺イエロー、俺ピンクがいる。全員、引き締まった良い表情だ。
俺は
ここまで後方で力を溜めていた
まずは目立たないように、ギアナギア完全体へエネルギー弾を当てることができる位置へ移動する。
対怪人用クラスター爆弾により、ギアナギア完全体の周囲にパープルメタリックの怪人がいなくなったので、行動が容易になった。
これならいける。
エルフィンドールズとの特訓により、発射できるようになったエネルギー弾。少し距離がある位置からでも攻撃できるので、こんなときありがたい。
そして、エネルギー弾を全方位から放つことには、意味がある。それは戦車大隊の攻撃を見ているときに、俺ブラックが気がついたことを確認するため。
『痛ってぇな。チマチマとウゼェッッ!』
やはりだ。
左胸の辺りに命中しときだけ、グラニットが『痛い』と言う。
グラニットは素直なお馬鹿さんなので、駆け引きではないだろう。
ギアナギア完全体の弱点は、左胸ということで間違いない。
『ウッゼェェェェェッッ! さっさと死ねやッッ!』
ギアナギア完全体も
ただし、その威力は
誰かに直撃してしまったら、一撃でリタイアしてしまうだろう。
このままエネルギー弾の応酬を続けることは、得策ではない。
その上、グラニットがイライラして、ギアナギア完全体から受ける圧力が上がってきている。
これ以上、キレさせて、さらにパワーアップされると厄介だ。
ここで
「このままではヤバイですね。俺グリーンさんに力を集める技で決めましょう」
俺に力を集約して一気に解放する技は、
これでしかギアナギア完全体を倒すことはできないだろう。
ここは俺が覚悟を決めて、やるしかない。
俺は答える。
「ですね。やってやりますよ」
きっとできる。
俺は自分の持つ能力を信じるだけだ。
俺レッド。
俺ブラック。
俺イエロー。
俺ピンク。
それぞれから力をもらう。
俺は
続けざまギアナギア完全体の左胸を目掛けて、渾身のパンチを繰り出した。
ドッガァァァッッ!!!
ありったけの力を込めた俺のパンチ。
手ごたえありだ。
ビキッビキビキッ!
ギアナギア完全体の分厚い装甲にヒビが入る。
今までどんな攻撃も跳ね返してきたギアナギア完全体に、初のダメージを与えることに成功した。
『ぐおおおお、痛えぇぇぇぇぇぇッッ!! クソがぁぁぁぁぁぁッッ!!』
やったか!?
俺のパンチにより、ギアナギア完全体であるグラニットが辛そうだ。
ギアナギア完全体がヨロヨロと後退する。
だが、それだけだった。ギアナギアを倒すまでには至らない。
さらに少しの時間が経っただけで、ギアナギア完全体のダメージが完全に回復してしまう。
その上、俺のパンチを食らい、グラニットの
それと共にギアナギア完全体から受ける圧力が増す。
『この下等種がぁぁぁぁぁぁッッ! ぶっ殺す!!!』
キレたグラニットにより、パワーアップしたギアナギア完全体が周囲にエネルギー弾を発射しまくる。
猛烈に暴れるギアナギア完全体。もはや近くにいることすら困難だ。
しばらくして、再びチャンスがやってきた。
「俺グリーンさん、今です! もう一度、行きましょう!」
俺がやるしか、手立てはない。
俺レッドに促されて、もう一度、俺に
ドッガァァァッッ!
俺は再びギアナギア完全体の左胸に渾身のパンチを命中させた。
しかし、ギアナギア完全体は倒れない。またダメだ。
『痛ってぇぇぇえッ! 下等種のクソがぁぁぁぁあッ! マジでウゼェェェェッッ!! 五人組ぃぃぃいッ! さっさと死ねやぁぁぁぁぁッッ!!!』
この攻撃により、さらに殺意の増すグラニット。ギアナギア完全体から受ける圧力が異常なほどに増していく。
ついには、その全身から不気味な紫色のオーラのようなものを放出し始めた。あまりの殺意により力が充満し、身体中からアストラルパワーが漏れ出ているようだ。
ますます手に負えなくなってきた。
紫色のオーラを纏ったギアナギア完全体が、手のひらに超巨大なエネルギー弾を発生させる。
バリッバリバリッバリッ!
そして、グラニットが絶叫する。
『下等種ぅぅぅッッ! いい加減、消滅しろやぁぁぁぁぁッッッ!!!』
紫色のオーラを纏ったギアナギア完全体が超巨大なエネルギー弾を発射した。
ズガアアアアアアンッッ!!
ドッシャァァァァッッ!!
超巨大なエネルギー弾は、辺り一面の建設物を吹き飛ばし、その背後にある木々の生い茂った山肌まで吹き飛ばす。
紫色のオーラを纏ったギアナギア完全体は、周囲の地形を変えるほどのパワーになってしまった。
グラニットの殺意と狂気、それによるギアナギア完全体のパワーは尋常ではない。
俺はギリギリのところで超巨大なエネルギー弾をかわしたが、あまりの威力を目の当たりにして、怯んでしまう。
俺が怯んでいる間にもギアナギア完全体は、その周囲を破壊している。
高速道路やトンネルが崩壊し、瓦礫の山が築かれていく。
至るところで火の手があがり、辺り一帯が荒れ果てていく。
『ギャハハハハハッ! 死ね死ね死ねぇぇぇッ! 皆殺しだぁぁぁッ!』
グラニットの殺意と狂気により、ギアナギア完全体の侵攻する勢いが増していく。暴れ狂うギアナギア完全体の前に、いつの間にか次の市街地が迫っている。
このままでは、すぐにも市街地が消滅してしまう。
この異常な殺意と狂気を、俺が止めなければならないのか。
なんの特徴もない、この俺に、そんなことができるのか。
俺とは一体なんなんだ。
◇◇◇
分身戦隊オレンジャーズ!
地球から悪が滅びるその日まで、オレンジャーズの五人は力を合わせて戦い続ける!
力を合わせると言っても、もともと全員、俺なんだが。
つづく!
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