第51話 反抗作戦開始

 五人の俺オレンジャーズはブリーフィングルームにて、怪人殲滅作戦についての説明を聞く。


 怪人殲滅作戦とは――。


 現在、星幽結社エルリンケイムの軍勢は、高速道路のパーキングエリアに集結し始めている。


 星幽結社エルリンケイムの軍勢は集結後、山間やまあいを抜けて、首都を目指してくると推測される。そのため首都へ向けての侵攻予想ルートには、一定のアストラルパワーを検知すると爆発するというアストラル地雷を設置済み。


 そして一定数の軍勢がパーキングエリアに集結したところを見計らい、新開発のアストラル子爆弾が詰まった対怪人用クラスター爆弾を投下する。


 対怪人用クラスター爆弾及びアストラル地雷で撃ち漏らした怪人は、東西から戦車大隊が挟み撃ち。

 東側アルファ部隊はなずなちゃん、西側ベータ部隊はかすみちゃんが防御を担当。


 巨大兵器ロボギアナギア完全体に対する主力は、五人の俺オレンジャーズ

 二人の分身幹部ドローレアに対する主力は、エルフィンドールズ。

 対怪人SATが五人の俺オレンジャーズとエルフィンドールズをサポートする。


 ブリーフィングの最後、権藤部隊長に「オレンジャーズとエルフィンドールズの負担が大きいがよろしく頼む」と言われた。


 俺は転生した当初、自分が特別な力を持つと初めて知ったとき、怪人から日本を守ろうと決意したことをあらためて思い出す。

 四人の俺赤、黒、黄、桃も同じだろう。


「怪人殲滅作戦、状況を開始する!」


 自衛隊指揮官の命令により、対怪人殲滅作戦が開始された。

 想定通り続々とパーキングエリアに集結してくるパープルメタリックの怪人軍団。

 その後方には、ギアナギア完全体と二人の分身幹部ドローレアの姿も見える。

 悠々とした余裕の進撃だ。


 その軍勢に向けて、自衛隊による攻撃が開始される。


 上空を飛行していた戦闘爆撃機から、対怪人用クラスター爆弾が投下された。投下された爆弾の中に詰まったアストラル小爆弾が爆発して、辺り一面が爆炎に包まれる。


 俺は遠くからその様子を見ていたが、味方でも引くほどのすごい威力だ。厳しいノルマを課せられて、せっせと作らされていたものは、アレだったようだ。


 さらに対怪人用クラスター爆弾を逃れて、周囲の山へ入ったパープルメタリックの怪人が、アストラル地雷により吹き飛んでいる。


 あの連続攻撃を受けたら、五人の俺オレンジャーズでも余裕で死んでしまいそうだ。

 人間の作る兵器の進化っぷりがなかなかに恐ろしい。


 しかし、それほどの攻撃にも関わらず、ギアナギア完全体は全くの無傷。二人の分身幹部ドローレアの様子にも変化はない。

 あの攻撃で無傷とは、巨大兵器ロボギアナギア完全体と二人の分身幹部ドローレアは、圧倒的にレベルが違うようだ。強さの底が全く見えない。


 さらにこの攻撃により、ひとつの問題が発生する。

 半数以上のパープルメタリックの怪人が消滅したことにより、グラニットがぶちキレた。


『なんじゃあぁぁぁッ、コリャアァァァァッッ! パープル戦闘員が消滅だとォォォッッ! クソ雑魚下等種どもがぁぁぁぁ! ぶっ殺す!!!』


 ギアナギア完全体が巨大なエネルギー弾を周囲に向けて発射する。

 先ほどまでより、大きく凄まじい威力のエネルギー弾。


 グラニットがキレて殺意が上がると、それに比例してギアナギア完全体のパワーが上がっている。グラニットはキレやすいし、とても面倒臭い仕様の兵器ロボだ。


 本来なら対怪人用クラスター爆弾のあと、戦車大隊による一斉砲撃の予定だった。

 しかし、ギアナギア完全体があまりにパワーアップしたため、司令部は危険と判断、作戦が変更された。


 続く作戦、それは。

 ホワイトシュシュのなずなちゃんとかすみちゃんによる、誉め殺し作戦。


 現状、グラニットがキレて殺意が上がり、パワーアップしているギアナギア完全体。この状態では手に負えないため、褒め上手のなずなちゃんとかすみちゃんにグラニットを上手くなだめてもらい、ギアナギア完全体のパワーを低下させる。

 そこへ戦車大隊がアストラル砲弾を撃ち込むという作戦だ。


 そして、この作戦が上手くいき、ギアナギア完全体が弱ったところで、五人の俺オレンジャーズが出動、トドメを刺す。

 俺は作戦が上手くいくことを祈り、出番がくるまで力を溜める。



 ◇◇◇



 分身戦隊オレンジャーズ!

 地球から悪が滅びるその日まで、オレンジャーズの五人は力を合わせて戦い続ける!

 力を合わせると言っても、もともと全員、俺なんだが。


 つづく!

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