第39話 五人の俺、覚醒する
巨大
戦車大隊によるアストラル砲弾での攻撃は、その効果が認められた。しかし、最終的には、ギアナギアが発射するエネルギー弾により、戦車大隊は沈黙した。
離れた場所にいる
だが、それでも持ち場を離れるわけにはいかなかった。
今、ここでゴールドメタリックの怪人に対抗できるのは、
俺は必死にゴールドメタリックの怪人をぶん殴る。
しかし、ゴールドメタリックの怪人は強い。
到底、俺一人では倒せない。
だがそれでも、五人の力を合わせて、五人いたゴールドメタリックの怪人を消滅させた。
その間、シルバーメタリックの怪人には、ホワイトシュシュちゃんが対抗した。
黒メタリックの怪人には、対怪人SATの皆さんが対抗した。
それぞれが全力を出して、役割を果たす。
その結果、三百人以上いた怪人軍団を全滅させた。
怪人軍団との戦闘に全力を出し切った
怪人軍団を殲滅した頃には、全員ぼろぼろになり、まともに動くことができなくなっていた。
大半がヘロヘロと腰を下ろし、その場にへたり込む。
そこへ巨大な影が迫ってくる。
戦車大隊を沈黙させた巨大
パープルメタリックの装甲を輝かせ、悠々とその歩みを進めてくる。
しかも先ほどまで傷つき、至るところから白いモヤがプシューッと吹き出ていたはずだったのに、なぜか修復されている。
最悪だ。
進撃してくるギアナギアが市街地の手前で立ち止まる。
気持ちはギアナギアを撃退したい。
だが、身体は限界を超えているため、気持ちに反して動かない。
他の
ギアナギアは青白いエネルギー弾を手のひらに発生させる。
誰もそれを防ぐことはできなかった。
ギアナギアは、無常にもエネルギー弾を市街地へ向けて発射した。
ギアナギアに搭乗するグラニットが叫ぶ。
『ギャハハハハハッ! 死ね死ね死ね! 下等種どもは皆殺しだぁ! ヒャッハァ!』
ギアナギアから発射されたエネルギー弾が市街地へ着弾するたびに、大きな爆発が起こる。
エネルギー弾が直撃したビルが崩壊する。
爆圧で周囲の建物の窓ガラスが砕け散る。
火災が発生して黒煙が舞い上がる。
『もっともっともっとぉぉおぉ! この程度では満足できねぇぇぇッッ!! 下等種のクソ惑星なんざ消滅しろやぁぁッ! 皆殺しだぁぁあぁあッッ! ギャハハハハハッッ!』
グラニットは止まらない。
グラニットの駆るギアナギアは止まらない。
ギアナギアはエネルギー弾を発射し続ける。
街の至るところで火の手が上がる。
あっという間に街への被害が拡大していく。
にも関わらず、俺はへたり込んだまま、その惨状を見つめているだけ。
住民は避難しているとは聞いたけど、逃げ遅れた人はいないだろうか……。
所詮は俺なんかに、この日本を守る力はないということか……。
俺には日本の皆さんやエステラちゃんたちの笑顔を取り戻すことはできないのか……。
俺は短い時間だが自問自答する。
俺は自身の心、自身の魂に問いかける。
俺はあんなヤツに負けるのか……。
俺は本当にここで終わるのか……。
――――いや、これで良いはずがない。
俺はまだ終わりじゃない。
俺はアイツを倒して、みんなを守りたい。
俺はみんなの笑顔をまた見たい。
俺は薄められて五分割されるほどの濃密な自分の力を信じたい、
俺はそのとき、胸の奥に鼓動を感じた。
ドクンッ!
ん? なんだ!?
急に胸の奥が熱くなってきた!?
俺は感じる。
俺の奥底から沸き上がってくる新たな力を。
俺は、俺と同じように、へたり込んでいた周りにいる
俺レッドが立ち上がる。
俺ブラックが立ち上がる。
俺イエローが立ち上がる。
俺ピンクが立ち上がる。
他の
そして、俺も立ち上がる。
再び立ち上がった
「灼熱の炎!
「新緑の風!
「漆黒の闇!
「
「癒しの光!
「五人揃って分身戦隊オレンジャーズ! オレンジャーズは貴様などに屈しない。今ここで、ぶっ潰す!」
再び巨大
◇◇◇
分身戦隊オレンジャーズ!
地球から悪が滅びるその日まで、オレンジャーズの五人は力を合わせて戦い続ける!
力を合わせると言っても、もともと全員、俺なんだが。
つづく!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます