治療のはじまり

中学2年生の時からヒキコモリをしている


20年ヒキコモリを続けていると、

最初あった罪悪感なんていうものは、もうない



ただ、ごくたまに外に出かける時

人がこわい

普通にレジを打つ店員に劣等感を感じる

スーツを着たサラリーマンは別の生き物のように感じる



学校で人とうまく話せなかった

友達は少なく、しだいに軽いいじめにつながっていった

そして、夜が眠れなくなった

頭痛、便秘、下痢を繰り返し体調がすぐれなくなった

もっと人と話せなくなり

勉強も頭に入らなくなった

いじめはエスカレートしていった


もうだめだ

学校に行けなくなった

それからヒキコモリが始まり20年


きっかけは、少しコミュニケーションが苦手なだけだったかもしれない

しかし、私は自分を欠陥だらけの人間だと思ってしまった

こんな風になったのは自分と親のせいだと信じた




ある日、私に親が言った

『治療を受けてみないか?』

最近、少し話題になっている

ヒキコモリ治療の話だった



私の親は、昔からこういう話を何度ももってきている

野外学校やカウンセリング、職業訓練

劣等感を増すだけで、どれも効果がなかった

最後には口論になった

毎回、親を罵倒し元のヒキコモリにもどった



今回も『またか、同じ事を繰り返すのか』と最初は思った

しかし、ヒキコモリはウイルスが原因であるこという事が気になった

治療費は全額国が負担するというのも気になる

ヒキコモリの身だが、実は親の家計の状態も少し気にしている


『・・・・うん・・』

うまく言葉がだせなかったが、治療を受ける気持ちを親に伝えた




親はうれしそうな顔をしていた

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る