第19話 初めてマイケルの歌を聞いて驚くソンジェ

 ソンジェは学生時代、お遊びに過ぎなかったのだが、ルーカスや他の友だちとバンドを組み、学祭で歌ったりもしていた。だから多少、音楽については聞く耳を持っていた。


 マイケルは「アクエリアス」にいた頃は、自作の曲を披露したことがなかった。

 だから人前で、自分が作った歌を歌うのは初めてだった。

 それは素朴なギターの弾き語りだったのだが、その天使をのような歌声はその場に居合わせた人々の心をとらえ、心を癒やした。


 ソンジェはこれほど心が動かされる歌を聞いたのは初めてだった。

 青年はそれからも何曲か、患者衣にカーデガンをはおった姿で椅子に座り、ギターをつま弾きながら歌った。


 稀に見る才能の持ち主であることは、ソンジェにもすぐわかった。

 だから彼がなぜこの病院の閉鎖病棟にいるのかが気になった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る