39話:やべ、出来ちゃった
それから俺は寝て、次の日。
早速売却物を調べる。
⋯⋯理由は簡単。
コインが無ければ何もこのストアを利用することも不可能になるからだ。
「これも駄目か」
これも、これもだ。
持っていた武器やアイテムをインベントリに入れても売却できませんとしか表示されず、これはかなり困り果てた。
「あ、あのアイテムたちなら」
俺はインベントリに入っている騎士が持っていた奴を売ろうと開くが、まさかのウインドウが表示された。
[このアイテムは売却不可]
[対象外のコードです]
⋯⋯は?頼むって!!これを売らせろよ!!
明らかに良さげなアイテムだっただろ?
「まじかよ、ふざけ」
飲み干したペットボトルを角にあるゴミ箱へと投げつけ、俺は天井を見上げる。
「はぁ、友梨さんいなくて良かった」
早く帰ってくる前にコインの入手法を探る必要がある。
⋯⋯まぁ金は一気に入ったけども、まだまだ必要だ。
──気軽に使ってたら無くなるレベルのカネしか持っていない。
「⋯⋯ん?」
馬鹿馬鹿、俺はなんてことを忘れていたんだろうか。
⋯⋯生成した金があるじゃないか。
冷蔵庫から三ツ○さんを取り出して俺は片手間に熟練度を上げるために様々なイメージで生成したもの全て詰め込む。
さっ、これならかなり良いだろう。
───
[☆?黄金のナイフ×50]
[☆?黄金のインゴット(20g)×100]
[☆?黄金のコイン×300]
───
はてな? 俺の奴は評価が悪いのか。
まぁでもさっきの奴らよりはマシだ。
ロクに売れすらしなかった訳だから。
「さぁ売れるかな〜」
とりあえずはナイフを10個ずつとかで、売っていこう。
販売の方から実際にページに載せる設定を終え、価格設定まで飛んだのだが。
「まずいなわからん」
どれくらいの価値⋯⋯こっちではあるかもしれんが、この場所ではどれくらいの価値なんだろうか。
あの凄そうな武器も400万GCコイン掛かったわけだし、しっかりと掛かりそうなもんだが⋯⋯。
色々ポチポチしているとありがたい事に、販売方法の選択肢があり、コメント対応で販売する方式を選択できた為、俺は迷わずそれを選択した。
「ふぅ、これなら実際に買う人のニーズとか色んな傾向も分かるし、一番は接することによってどれくらいヤバイ連中なのかも少しは分かるだろう」
俺は販売を選び、コメントがどれくらいでくるかもわからない中、緊張しながら待ち構える。
[この条件で販売します]
[初めての販売を達成!]
あ、ありがとう。
VIPになると色々恩恵があるんだろうか?
まぁ、その辺も追々って感じだな。
「さぁーて、三神さんが来る前に先に終わらせちゃいますか、デイリークエスト」
タブレットからゲームを立ち上げ、始めようとしたまさにその瞬間──。
ピロン。
「ん?」
[ニックネーム:双黒の龍が入札]
[ニックネーム:白銀の盾が入札]
[ニックネーム:今日こそレベルを上げるが入札]
⋯⋯⋯⋯
「え?」
なに? 何が起こっているんだ?
一気に俺の前に何十ものウインドウが現れ、大量に入札していく。
「ちょちょ、邪魔邪魔!」
目も当てられない程のウインドウが俺の視界を奪い、思わず暴言を吐きながらウインドウをどかしていく。
「いや、タイミング悪すぎない?」
まぁそんなことは後だ。
[入札者が一万を超えました]
[あなたのプロフィールが現在急上昇1000位に入りました]
それからというもの、似たウインドウばかりが俺の目の前に出現し続ける。
[入札者が3万を]
[入札者が5万を]
[入札者が9万を]
[入札者が15万を]
現実離れしている数字に、俺は唖然としたままその光景を眺め続けた。
いや、正確には何も出来なかったが正しい。
何をやってもウインドウが消えることはなく、増殖を始めるからだ。
[入札者が一定を超えました]
[その為、販売ユーザーが選択していたコメント対応は一旦破棄します]
[販売方式はオークション式に強制的に変更されます]
「え!! そりゃないぜ!」
むしろこの塔とかで試練をやっているであろう人間達と会話ができると思ったのに!
[入札者の皆さんは、オークション式の希望欄に希望コインを入力してください]
[十万コイン]
[五十万コイン]
[九十万コイン]
ドンドン跳ね上がる俺の販売した黄金のナイフ10個。
それと同時に、自分の心臓の鼓動も早くなっていくのを感じる。
⋯⋯改めて再認識しないといけない。
この黄金くんのヤバさを。
こんなイカれた塔とかいうところで活動している人たちですら、こんなコインを投げるってことは──やっぱりそういうことだろう。
[500]
[530]
や、やべぇ⋯⋯五百万コインって事だよな?怖すぎなんだけど。
[双黒の龍様が1000を入力しました]
「1000!?」
千だと!? どんだけ持ってるんだよこの人は!
[円卓の騎士の王が1100を入力しました]
「はぁぁぁぁ!?」
[虹の海底の主が1200を入力しました]
[黒翼の女帝が2000を入力しました]
俺は完全にノックアウト。
顔面蒼白で燃え尽きそうだった。
「あの剣、4本は買えるぞ⋯⋯?」
[黄金の使徒が2500を入力しました]
「2500⋯⋯」
壁に寄りかかっていた自分がパンクしそうだ。
[黄金の女神が3000を入力しました]
[月華に映える皇帝が4000を入力]
[黄金の使徒が4010を入力]
[幻獣の飼い主が5000を入力]
[黄金の使徒が5010を入力]
⋯⋯なんか使徒さんが健気すぎる!!
10でなんとか買おうとしているんだね。
ゴメンよ、これ──無制限に作れちゃうんだよ⋯⋯。
それからというもの、競いに競い、そして最後のトドメがやってきた。
[太陽の主が9000を入力]
[黄金の審判者が一億を入力]
["神星仙帝"が五億を入力しました]
この謎に五億まで上げたのを最後に、俺の売った黄金10個の販売イベントに幕を下ろした。
「あれ? 煌星くん?」
「疲れましたぁぁ」
ピロン。
[売上げが]
[売上げが]
[売上げが]
⋯⋯⋯⋯⋯⋯
[売上げが5億に到達した為、VIP1を付与いたします]
[急上昇に載るを達成]
[多すぎる達成量のためまとめてプレゼントボックスに送られます]
どんだけ気にしないふりをしても、連続で現れるウインドウの圧に勝てず、友梨さんが帰ってくるまで地獄のような時間を耐え忍んだのだ。
「そんなにお昼たべたかったの?」
「食べたかったですぅー!!」
「あら、じゃあ美味しい物を作らないとね!」
うん、女神だ。アンタは女神だよ⋯⋯友梨さん。
「煌星くん!?大丈夫!?」
ピロンピロンの大群に精神力を使った俺は、ご飯を頂く前に疲れきって昼寝を始めてしまった。
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