地元掲示板の書き込みから始まった僕らの不可解なラブコメ
ALC
第1話過去から追いかけてきたヒロイン?
よくある地元掲示板。
そのネット掲示板で時間を潰すのが僕の休日の過ごし方だった。
別に友達が居ないわけではない。
女性が苦手とか人間不信とかそういうのではない。
ただ休日に外に出るのが面倒なので適当にネットの海に泳いでいるのだ。
そんなある日。
とあるスレッドが立ち上がる。
001>二十三歳女性です。急募!話の合う異性!仲良くしてください!
その書き込みに惹きつけられた僕は適当に書き込みを行う。
002>二十五歳男性です。話が合うかはわかりませんが…仲良くしたいです。
003>早速書き込みありがとうございます。一度会ってみます?
004>警戒心薄いんですか?
005>どうしてですか?掲示板に履歴が残るので私になにかあったら疑われるのはあなただけじゃないですか
006>なるほど…じゃあ会ってみますか?
007>是非。ハンドルネーム
008>合ってます。そっちは
009>はい。じゃあ明日の18時に駅で待ち合わせでどうでしょう?
010>了解です。ジーンズに白シャツで行きます
011>私は淡い水色ワンピースで行きますね
012>わかりました。では明日
そこでやり取りを終えた僕は早速家を出て料金の安い床屋で髪を切りに向かうのであった。
翌日の日曜日は普段よりも早起きをして身だしなみを整える。
完璧に支度を済ませると十八時になる十分前には駅に到着する予定だった。
家を出て駅のターミナルで水色のワンピースを着た女性を探した。
すると十八時丁度辺りで電車から降りてくる水色のワンピースを着た女性を発見する。
彼女も人を探しているようだったので僕は彼女のもとまで急いだ。
「あの…苺苺さんですか?」
声をかけると彼女は僕のことを笑顔で迎える。
全身を確かめることもなくすぐに頷くと口を開いた。
「神威さんですね。すぐに分かりましたよ」
「ホント?平凡な恰好なんだけどね…」
「いえいえ。輝いて見えましたよ」
「ありがとう。苺苺さんも思った通り美人だね」
「おだてたって何も出ませんよ」
「そんなつもりじゃないんだけどね」
「とりあえず夕食でもどうですか?」
「良いね。何処に行こうか?」
「予約してあるんです」
「ホント?何もかもありがとうね」
「いえいえ。今日を楽しみにしていたので」
「そっか。僕もだよ」
「それは…光栄ですね…」
彼女は最後の言葉を歯切れ悪い口調で言うがすぐに笑顔を取り戻した。
「早速行きましょう」
彼女の後に付いていき夕食をレストランで済ませるのであった。
食事を終えた僕らは最後のデザートを頂きながら話を始める。
「またこうして遊んでくれます?」
「苺苺さんが良いのであれば。僕はいつでも」
「良かったです。二つ上ってことですけど…私に見覚えはありますか?」
「いや、無いかな。もしかして僕のこと知っていた?」
「………いえ。そんなことはないですよ」
「そう。今日は楽しかったよ。また遊ぼう」
「はい。良ければ来週もどうですか?」
「是非」
「じゃあまた来週も同じ時間に同じ場所で」
「分かった」
そこで僕らは会計を済ませて店の外に出る。
それぞれがそれぞれの帰路に就くと本日は解散となるのであった。
過去から追いかけてきた彼女と何も覚えてなどいない僕の不可解なラブコメはスタートしたばかりだ。
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