ひーろー伝記?

@Ikasamasan

第1話なんだコレ

「……なんだコレ?」


ここは王立中央学園内にある、第一訓練場。学園の放課後夕方に差し掛かったいつもはクラブ活動でもない限り人の少ないその場所は、周囲に大勢の生徒達が野次馬目的で集まっていた。


彼らの目的は目の前で繰り広げられる二年生の生徒二人による一人の女生徒を巡る決闘だった。二人とも摸擬戦用の武器を構え向き合っているが誰も止めようとしない。


「アイルダー!! 俺が勝ったらアマンダに二度と近づくな!!」


叫んでいるのは着崩した学生服の胸元に、二年生の平民を示している銅で縁取られた緑のバッチ着けた男子生徒。短い茶色の髪と黒い瞳をした彼は、妙に整った顔を怒りによる興奮で歪ませていた。


「見苦しい男だな…貴族に平民が直接意見するなど不敬だと知らんのか?」


対峙しているのはキッチリと学生服を着こんだ男子生徒、貴族らしく整った顔には冷笑が浮かんでいる綺麗に切り揃えられた金髪は手入れが行き届いているらしく、艶やかで青い瞳には侮蔑が浮かんでいる。そんな彼の胸元には高位の貴族を示す金縁のバッチが日の光の下でキラリと輝いていた。


「待って待って待って!!!アレン待って!!!貴族様に決闘挑むなんてしないでよ!!!!!」


平民男子の背後から、肩を掴んで必死に大声を上げる女子生徒、肩まで伸ばした薄い桃色の髪を茶色の紐でまとめた一目で誰もが美少女と認めるだろう彼女の顔は状況のマズさを理解しているらしく血の気が引いていた。普段は弓型の眉は逆になり、垂れ気味の瞳からは涙がいまにもこぼれ落ちそうだ。ちっょと鼻水も出ているらしく、女の子が人前で見せたくない形相である。


(平民が貴族に喧嘩売ってる訳だし、原因にされれば血の気も引くか)


建前としてこの学園では身分を問わないと言われているが、それは学園内の話であって外では関係の無いことは普通は知っているハズである。だが彼は、


「大丈夫だ俺に任せろよアマンダ、貴族なんかに負けねぇから」


「それ以前の問題なの~~~~~!!!!!」


どうも彼の中には、身分によって行動を変えるなどという機能は無い様だ。


「……うあうぅぅぅぅぅぅぅ」


彼女は助けを求めて周囲の野次馬を見回すが、誰も止めようとする者が居ないのをみると、がっくりと肩を落として訓練場の端でうずくまり泣き出してしまった。


「くっ…お前のせいで…」


「はぁぁぁぁぁぁぁ……つくづく話が通じないな平民…苦労しているなアヤツ」


泣き出してしまった女子生徒に、一方は貴族のせいと怒り出し一方は同情した。


「俺があいつを守るんだ…行くぞ貴族!!覚悟しやがれ!!!」


アレンは下に向けていた木剣を、両手で握り締め上段に構えると駆け出した。


「かかってこい平民…身の程…というものを教えてる」


貴族生徒は木剣を片手で構えると余裕をもって迎えうつ、二人が互いの間合いに入りアレンが上段からの打ち下ろしハインリヒは斜めに構えた受け流しつたが、体重の乗った一撃は重く反撃までは至らない。


「くっ…大振りだが重いか…」


「ひょろひょろな貴族がいつまで耐えられるかなぁぁぁぁ!!!」


勢いにのったアレンが木剣を振るいハインリヒを防戦に追い込むが、冷静に丁寧に一撃一撃を捌き続ける。


「ああ!クッソ!いい加減諦めやがれ!!!」


「そちらこそ…諦めたらどうだ」


平民の激情…貴族の冷厳

火花散らす二人だが、泣いていた少女が何時の間にか姿を消していたことに気付け無かった。


「止まれぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!!!!二人ともそこまでだ!!!この学園では決闘による問題解決は禁止されている!!即刻戦闘を中止しろ!!」


駆け込んできた教師の怒声が訓練場に響きわたり中止となった。


「女子生徒が泣きながら駆け込んできたが……何をしてるんだお前たちは……」


呆れた声で止めに入ったのは軍事系の顧問教師らしく、軍服を着こんだ厳つい男教師だった。


「あちゃぁセンセー来ちゃったよ」

「なんだこれで終わりか」

「このままここにいたらセッキョーに巻き込まれんぞ」

「逃げんべ逃げんべ」


黙って見ていた野次馬は我先に散っていった。

その人の流れに紛れて自分もその場を離れるが周りの気楽な声が、まるで耳に入らない。


「おい大丈夫か?なんかふらついてるぞ」

「…んあ…あ…うん…大丈夫…」


友人の言葉に生返事を返しているが、頭の中は混乱で同じ言葉が回りつづけている。


「スマン…今日はもう帰るよ」

「ああ調子…悪そうだもんな」

「ん…じゃあまた学校で」

「おう…またな」


友人と別れた自分はふらつきつつも、学園の敷地内にある男子寮の自室まで辿り着きベッドに倒れ込むと呟いた。


「ふざけんな……マンガじゃねぇんだぞ……」




こちらは私の初めての作品です。


まだ書き方もよくわからない状態ですが、よろしければお付き合いください。



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る