善良さの証明
昔々、クラス全員で異世界に召喚された高校生たちがいました。
校名や所在地は
この1年3組を、ある神様が
「神々の
「ただし、特別
神様は生徒たちの反応を少し
「皆さん、お互いの
(うわっ、クソ
1年3組の一員、
(そんなの、友達が多いクラスカースト上位の連中が有利になって、チート能力をかっさらっていくに決まってんじゃん)
「おや、どうやらご不満な
まるで心を読んだかのように――いや、きっと実際に読んだのでしょう――、神様が言いました。
「では、皆さんの
その言葉と
タブレットはオプションのキーボードやタッチペンが付属しており、画面には文章が表示されていて、クラスメイトたちが話し合いを始めていました。
『これ、なろうの異世界転生だよね? ギフトってチート能力のことでしょ?』
『俺
『俺らTUEEEEだね』
『てか、ここどこ』
『早く
『マジそれ。状況が
『神様:
文章は音声として読み上げてもらうことも可能で、クラスメイトの声は
口に出したことをそのまま文章として送信することも、送信する前に確認して取り消すこともできるようです。
北見さんは、(この
1年3組の話し合いは、
(うちのクラスは女子が強いから、
最初に出てきて、神様の話を確認してるのは
で、
北見さんはひとまず
『神様が提案した、自分以外の
神様の話だと、ギフトは
『
『能力がバラけたときも助け合えば良くない? ワイら別行動させられんの?』
『
『平和に行こうよ。同じクラスで
『助け合おう、神様もきっとそれを望んでる』
『この話し合い自体が神様の
『ありそうwww』
『待って。さっきの話が本当なら、僕らが善良なのを証明できないと他の神様を納得させられないわけだけど、こんな
『仲村、「僕」って言っちゃってる』
『一人称が「僕」なの、仲村くらいだよね。他の男子はみんな「俺」』
『でも、今は
『どっちにしても、特別
『どんな状況になってもみんなで助け合おうって事前に決めるのは、「飛び抜けた善良さ」なんじゃないの?』
『
『打算は結局、利己的だから、自己
『いや、でも、決めておいたらいいじゃん』
『賛成。こういう状況で、そう取り決めておかないの
『
『「誰がどんな能力を
『そうしよう』
『これでひとまず安心』
『
『言うな、
『他に取り決めておくことはないかな?』
『「
『よし、それで行こう』
『賛成』
『おつ』
『終わったな、風呂入ってくる』
『神様:まだ終わってませんよ』
『神様、来た』
『神様のお言葉で、終わってないことが確定』
『俺たちそれぞれが善良だって示さないといけないんだっけ?』
『みんなで助け合うと取り決めただけでは不充分ってことは、やっぱり個々人の
『てか、俺たち
『まあね』
『それで行くか』
『神様:犯罪経験が少ない人から優先的に強力なギフトを
『待ってください、そう言われると
『自転車
『犯罪。でも、未成年飲酒の
『ヤバい、したことある』
『ちょっと
『アディオス、犯罪者ども』
『犯罪の少なさより、
『自己
『すげぇ』
『善い兄貴』
『英雄確定!』
『
『そこは良い話でいいじゃん』
『それぞれそういうエピソードを自己申告すればいいんじゃない?
ここで、ずっと
「待って。それは最初に神様が言った方法と大して変わってない。弟を助けた人が
『はー、そう来たか』
『うーん……』
北見さんは続けます。
「友達が多い人はそういう場面に
『友達作りって善行じゃないの?w』
『善行は
『ぼっちを
『まあ、
『ぼっちさんはどういう決め方がいいの?』
北見さんはネットで
そこで、
「
『クジ引き?』
『この人が一番の善人ですって、クジで決めるの?』
『ありかも』
『ワイもそう思う。意外とアリじゃね?』
『無しだろ』
『ねぇよ』
『おい、ありって言った奴、名乗り出ろ。いいかげんちょっとやりづらい』
『仲村です。クジ引きというのは
「誰がどんな能力を
『いやいや、順番を
『たしかにそうだけど、――あ、仲村です――、僕らがお
だから、ここでもう1回クジ引きをやるっていうのも、考え方としては間違ってない』
『他の神様に対しては、「ここでクジ引きを選べる1年3組は、特別待遇に
『それでいいと思う。お互いへの信頼を示すって意味じゃ、
何だか、北見さんが思った以上に、北見さんの意見通りになってしまいました。
神様は、さすが神様です、すでに箱を用意してくれていました。
「この箱の中には、1から40までの数字を書いた紙が入っています。適度にかき混ぜてありますし、クジ引きは別の神様の担当なので、
神様の言葉に、クラスのみんなが「ありがとうございます」とお礼を言いました。
しかし、北見さんは神様が言ったことが引っかかりました。
――クジ引きは別の神様の担当。
(何も
そう思いながらも、自分の
<善良さの証明、完>
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