限界社畜の俺は女神の妄想を見るようになりました。

月日

第1話 終わりの始まり

ああ、こんな未来になるなんて思いもしなかった。


 まさか、まさか俺がこの世界でこんな事になるなんて。



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 「山元君、おめでとう!今期から昇進だよ!主任としてしっかり頼むよ!」


 この一言が地獄の始まりだった。新卒入社した会社で新人としてはかなり優秀な成績を残した

 俺はかなり早く出世した。当時俺は出世すれば幸せになるれると思っていた。

  それが大きな間違いの始まりだった。


 俺が入社した会社は、テレアポでお客様に架電し契約をとったりカスタマーサポートを

するような会社でだった。時には直接お客様と会うことも有るが今は大体オンライン会議が

ほとんどだ。


 入社して俺が、配属されたのは高齢のお客様にタブレットを販売する部署だった。


 おいおい、高齢者がタブレットなんて買うのかよ。てか使えないだろ。売れるわけないな。

 

 そんな事を俺は思っていた、しかも正直テレアポ経験なんてない俺は最初かなり緊張した。

 しかし以外にも俺には才能が有った。面白いようにタブレットが売れた。


 「お忙しいところ、恐れ入ります。○○株式の山元です。お時間よろいでしょうか??」

 「セールス???話を聞いて時間なんてねえよ。」ガチャ


 「お忙しいところ、恐れ入ります。○○株式の山元です。お時間よろいでしょうか??」

 「はい、なんですか?」

 「あの、タブレットを販売しておりまして。」

 「結構です。」ガチャ


 「お忙しいところ、恐れ入ります。○○株式の山元です。お時間よろいでしょうか??」

 「うるせえね、前もお前のところから電話かけてきだろ詐欺師ども。訴えるぞ。」

 「申し訳ございません。」

 「申し訳ございません。じゃねえんだよ。」


 こんな感じで最初は売れなかった。同期も先輩も大体同じ感じだった。


 しか、俺は有るときに本気で売ると決意して分析してみた。

 まず、タブレットを売るとはなにか。いや、物を売るってことはなんだ??

 なんで人は物を買う?安ければ買うのか?性能が良ければ買うのか?

 うーん、全部なんかしっくりこない。究極的には人は一切ものがいらないんじゃないか????

 なんでブランド物を買うんだろう?同じ素材でもっと安物をだってある

 そんな事を考えていた、俺は自分が何か買うときに何で買うか?を自問自答した結果

 ・・・物を買うのは結局イメージ(それを手に入れた未来を買っている)という結論になった・・・

 例えば、コンビニビールを買う。それはビールを飲んで気持ちよくなっている自分をイメージして買っている。

 ブランド物の時計を買う人は、それを身につけている自分をイメージして買っている。


 つまり、人によりよい未来を想像させれば自然と売れる。

俺はこの結論のたどり着いて、パターン別に客を分類して。売りに出た。

大体80%のまともな方法では、名乗った時点電話を切られる。一旦ここは無視だ。

 ターゲットは20%のとりあえず少し話を聞いてくれる客だ。


 こいつらに未来を見せてやる。


「お忙しいところ、恐れ入ります。○○株式の山元です。1分だけお時間いただければと思います。」

「はい。」

「営業とかとではなく、アンケート何ですが。」大嘘である。営業以外の何物でもない。

「携帯電話って使われれます?」スマホは分からないが携帯を使ってない人はいない。なぜなら携帯にかけているから。

「はい。」

「あ、さようでございますか。特にご不便な事はないですか?」普通いきなり、かかってきた電話に悩み相談なんてしない。もし悩みを言い出したらラッキー。

「特に困ってないですね。」

「さようでございますよね。皆さん大体そう仰るんですよ」


 大体ここまで話すと、客は知らず知らずにうちに会話をすることに抵抗がなくなっている。そして「はい、YES」を何度もいう事で

 無意識に相手を信頼するようになっている。


 ・・・・・


「ちなみに、今回タブレットのご紹介だったんですけどお客様のお話聞いていたら、お孫さん喜ぶかなと思って一応説明だけしてもいいですか?」

「是非是非」


 パターンは分岐するが、圧倒的に売れた。

 俺がトップなのはもちろんだが、山元メソッドまで出来上がった。

 そうして俺は主任になった。


 そして地獄が始まった。

 異常な仕事量の残業。トラブルを起こす使えない部下。成績しか見ないうえに頭の悪い上司。

 上がらない予算。多発するクレーム。


 もう、死にたい。

 


 

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