第23話 ブラック雫

「……」zzz


ガン!


「……?!?!」


気持ちよく眠っていたら扉が思いっきり叩かれた件について。

私は驚いたのと恐怖で体が震えてしまっています、眠りから無理矢理覚めさせられた影響か思考がめちゃくちゃ、心臓バクバクです。


「大丈夫?少しびっくりしちゃったよね。」

「だ、大丈夫ですよ。

それに雫先生は悪くないです、扉を叩いた相手の方が悪いです。」

「まぁ鍵を閉めたらこうするのは予想ついてたね……」


ん?


「ほら、流石に教師の私が眠ってるのを見られるのは……ね?」


なるほど、確かに大問題だ。

というか抱きしめて横になったのは私のせいじゃね?


「ごめんなさい。」

「ううん大丈夫だよ、一度腕の力が緩んだ時に鍵を閉めてもうまた戻ってきたのは私だから。」

「そうなんですね……

え?」


うん、なんで戻ってきた?

確かに雫先生がいてくれたおかげで寝やすかったのは事実だけど、雫先生も忙しいだろうし抜け出せたなら戻ってこなくてもよかったのに……


バン! バン!


「うるさいなぁ……」

「……!」

「ちょっと行ってくるね。」

「は、はい。」


なんか雫先生の様子がおかしい気がする。

どことなくお姉ちゃんと畔華みたいな雰囲気を感じた。


ガチャリと鍵を開ける音と同時に勢いよく扉が開かれてお姉ちゃんが入ってきた。

叩いてたのお姉ちゃんだったのか。


「菁華さん、あまり何度も強く叩かないでください、迷惑ですよ?」

「栞華〜!大丈夫だった?!何もされてない?!」


注意する雫先生を無視して体を揺らしてくるお姉ちゃん、迷惑かけたんだから謝りなさい。


「何もされてない。」

「よかったぁ、鍵を閉めてたから栞華に変な事をしてるんじゃ無いかって心配だったの。」


その変な事ってなんだ、最近のお姉ちゃんと畔華の方が変なことしてくるわ。

抱きついたり、チューしたり、不機嫌になったり……


雫先生はむしろその逆、私のオアシスでラストエリクサー。

もはや生きる女神。


「他には何も無かった?」

「だから、何も無──」

「扉が乱暴に叩かれて、気持ち良さそうに眠っていた栞華さんが起きてしまったぐらいですね。」


私の肩を掴み、額同士をくっ付けてしつこく聞いてくるお姉ちゃんに苛立ちが募る、こちとら眠ってる時に起こされて少し不機嫌。


少しキツく言ってやろうと声を低くしたとき、雫先生が割り込んできた。


「……さっきからなんですか?

部外者は姉妹の会話に入ってこないでください。」

「貴方にはハッキリ言わないとわからないかな?って思いまして。」

「は?どういう意味?」

「それも言わないとわかりませんか?」


言葉に棘がある、だと……

女神である雫先生がここまで誰か1人に対して棘のある言葉を言っているところは見た事がない、でもこのお姉ちゃんにはもっと言ってやってください。


「貴方の行動によって栞華さんが無理矢理眠りから起こされたんですよ?」

「!」

「しないと駄目な事はわかりますよね?それとも教えて欲しいですか?」


やる事ってなんだろ?

私は全くわからないけど、お姉ちゃんはやる事を察してるのか雫先生を忌々しそうに見てから目を逸らした。


「栞華、起こしちゃってごめん……」


マジか、最近は意味わからん理由で謝られること多かったけど、今回は理由がわかってるのも影響してか謝罪されてると感じる。


「別にいい……」

「!」


まぁ感じたとして起こされたのは別にどうでも良い。

それよりもお姉ちゃんに謝らせた雫先生のコミュ力の方が気になる、私にはここまで高いコミュ力は無いから憧れる。


「それより雫先生と話したい事があります。」

「わかったよ、2人きりの方がいいかな?」

「出来ればそうですね。」


そこで固まったまま立ってるお姉ちゃんに視線が向く。

『ごめんなさい、この部屋から出てくれないかな?』

という私からの無言の圧力だ。


「え?そんな……」

「ごめんなさいね菁華さん、栞華さんは私だけに相談したい事があるみたいなので一旦保健室から出てもらってもいいかな?」

「……はい。」


少し煽ってるようにも聞こえる雫先生の一言に対してお姉ちゃんがやけに素直だ。


「栞華、ごめんなさぃ……」

「うん。」


すっかり意気消沈した姉の背中を見送る。

グッバイ、少しは反省してくれ。


「それで、話って何かな?」

「どうしたら、雫先生みたいに話せる様になりますか?」


私の質問に対して雫先生は不思議そうに頭を傾けて、少し考え込んでいた。


「先生?」

「あっごめんね、ちょっと考えちゃってた。

えっと、どうしたら私みたいに話せる様になるかですよね。」

「そうです。」

「う、う〜ん……」


またまた考え込む雫先生。


「む、むぅぅ……(栞華ちゃんって普通に喋れてるよね?)」


なんかすごい悩んでる。


……まさか私にはコミュ力強強になれる素質が無いのだろうか、雫先生はそれをわかって私を傷つけない様にしているとか?!(妄想です)


「か、会話のコツはリラックスする事です。」

「はい。」

「えっと、それから……」


なんかごめんなさい。

やっぱり生まれ持ったコミュ力は変わらないんだね……


「それからね、睡眠が大事なの!」

「え?」


なぜ急に睡眠?


「リラックスしながら会話するためには頭を休ませないといけないの、のんびりゆっくり深い眠りが必要。」


なるほど、でもそれは今の姉妹達の状況的に残念ながら難しいかもなぁ……


「でも最近の栞華ちゃんを見る限り家では眠れてないですよね?

そこで提案なんですけど、」


まさか姉妹達と話して私に安眠を──


「家に来ませんか?」


えっ──


「行きます。」



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


次回・『雫先生の家』



お待たせして本当に申し訳ありませんでした!


遅れた理由何て言い訳にしかならないので今回は更新で示させていただきます。


8月のうちに5、更新いたします


その後の更新はまた未定ですが……


どうか、これからも応援よろしくお願いします



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