第10話 久しぶりの学校

どうも私です。

今日も例の2人に思いっきり拘束されて結局眠れない夜を過ごし、疲労がとても溜まった状態で学校に行く事になった私です。


そして、


「畔華の中学は反対だけどなんでこっちに付いてきてるのかな?」

「なんでだろうねー。

でも姉さんには関係ないよね?」


私の乗る車椅子を引きながら、何故か喧嘩っぽい事をしてる菁華と畔華です。


「大事な時期の妹を心配しないで姉が居ると?」

「その顔で言われても説得力ないなぁ〜、お姉ちゃんも怖がってるよ〜?」


怖がってないわい、ただ眠いのと恥ずかしいのとで下を向いてるだけじゃい。

ねぇ周りをもっと見よ?凄い視線感じるんだよ?


「眠い…

ねむねむ…」


恥ずかしい時って特に意味のない事を言っちゃうよね。

今は実際に眠いけど、お腹空いてないのにお腹空いたとか、恥ずかしさを誤魔化そうとするのか口から出ちゃうんだ。


それでまた恥ずかしくなる、まさに負のループ。


「「ぐっ、なんて破壊力…」」


2人がなんか言ってる。


「「「グハッ!」」」


周りにいた人達も何故かダメージを受けたみたいな声を出した。

どうしたん?


「ふぅ、じゃあ後は頼んだよ。」

「言われなくても〜。」

「お姉ちゃん、また放課後にね!」


畔華がかなりの速度で走り去る音が聞こえた。


「一応、体育は見学になるのと、お昼ご飯は使ってない部屋を借りたから一緒に食べようね!」

「わかった。」


めっさ眠いのに話しかけられるとイラつく、でも今日の学校生活で必要な事だから何も言えない。


「来月のテストはーー」


そんな先の事まで?!



ーーーーー



ザワザワ ザワザワ


なんでこんなに視線を集めてるんだ…

いや、理由はわかってる車椅子が珍しいっていうのと約1ヶ月振りの登校だからだ。


それでも、


「見られすぎ…」


ギリギリ誰にも聞こえないぐらいの呟き。

見られてるせいでウトウトも出来ない、少し下を向きつつも周りの人達にはしっかり起きてるとわかる。


「ーーーー。」

「ーー、ーーーーー。」


コソコソなんか言ってるし、普段なら周りの人の会話なんて気にならないんだけど、なんか今は不安になるわ。


「ん?」


前にデカい奴が走っていた。

確か同じクラスで野球部の…誰だっけ?


特に気にする事なく教室に向かうため、デカい奴が居る方向へ。


「おい…」


お姉ちゃんのそんな低くて圧の出てる声初めて聞いた。

どうやらデカいクラスメイトに向かって声を掛けたみたい。


「あっ、えっと…」

「邪魔なの、わかる?

見ればわかるよね?」

「すいませんでした!」


私は別に気にしてなかったけど、お姉ちゃんがブチギレた。

ビビってるデカいクラスメイトは走って此処から離れようとし、その行動がまたお姉ちゃんの逆鱗に触れた。


「埃を立てんな!」

「すいません!」


涙目だよ、なんか可哀想だよ…

顔が良い人のブチギレって怖いよね。すまん、名も知らぬデカいクラスメイト。


そして周りから視線が一気に減った。


「あっ、職員室行かないといけないんだった。」


私は不思議に思ったのにお姉ちゃんは全く気にする様子が無い。


「〜〜〜♪」


鼻歌まで歌って上機嫌。


「あのクソ教師達に何か言われたら私に全部教えて、教師を続けられないようにしてやるから。」

「こわ…」

「大丈夫、お姉ちゃんが守ってあげる。」


いや教師を怖がってるって解釈しちゃったみたいだけど、私は平気で教師を続けられないようにするって言った菁華お姉ちゃんが怖いんだよ?


「失礼しまーす。」

「「「!!!」」」ササッ


職員室の扉を開け入る。

私達の姿を教師達が確認すると、一斉に目を逸らして各々距離をとった。

それはまるでゴキブリが逃げる時のように逡巡な動きだった。


「栞華ちゃんが今日から復帰します!はい、拍手〜!」

「「「…!」」」パチパチ パチパチ!


恥ずかしいのと怖いのとで、直ぐにここから離れたくなった。

教師達は表情に恐怖が見え、明らかに菁華に怯えているのが丸わかりだった。


「今日は保健室で登校ってなってたけど誰が栞華ちゃんの面倒見てくれる感じかな?」

「え?」


私って保健室登校だったの?!

普通に元のクラスだと思ってたけど、少し考えれば1ヶ月も寝たきりだった人を直ぐに同じ場所には戻さないよね。


「私が、ずっと付いています。」

「…貴方ならマシかな、じゃあよろしく!」


ビクビクしながら近づいて来たのは保健室の先生、小柄な女性でマスコット扱いされることもあるが生徒からの人気は絶大。


「じゃ行こ…行きましょうか。」

「はい、ありがとうございます。」


ちなみに私は先生と面識がある。

持ち前の鈍臭さで怪我した時に何度かお世話になったからだ。


あまりにも怪我が多いかったから、先生と2人で内緒でお茶した事がある。

ココアとクッキー、沢山口に入れてリスみたいになってて可愛かった。


「……」


ってか、こんなに無口な人じゃなかったんだけど何かあった?


「…ベットに横になります?」


なんと魅力的な提案だろう。


「そうですね、横になりたいです。」

「わかった、よ?」


対応に少し距離を感じるの、悲しいなぁ…


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

学校編が予想以上に長くなりそうなので、ちょっと此処で切ります。


次回・優しさの擬人化



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