ドジで怪我した私 1ヶ月後に目が覚めると姉と妹がめっちゃ病んでた

ノツノノ

第1話 ドジった

学校の普通なら鍵が閉まってないといけない外階段の3階、そこで長い髪を揺らしながら黄昏ている絶世の美少女。


「私こんなとこで何してんだろ。」


それが私。


っていう恥ずかしいナレーションを1人脳内で再生している、普通の少女が本当の私です。


「というか高校生は少女って自分で言う歳では無いのかも。」


私の勝手なイメージだが、自分のことを少女と言っても違和感がないのは中学生までな気がする。

そもそも少女って言う人の方が少ない気がするけど…


「どうでもいいか…」


唐突だが私には友達が居ない。


その理由はハッキリしている。

一般的な友達の居ない理由で、コミュ力が無い、1人が楽、自己紹介でやらかした、グループ作りに乗り遅れた、などがあるけれど私の場合はこの変な思考回路だと思う。


何かをしながら別のことを脳内で考えて、疑問や結論が口から出てしまう。

それは他人との会話というコミュニケーションでは致命的な欠点、変な奴というイメージがつくの仕方のない事だ。


「はぁ…」


夕陽が綺麗だな。

ちなみに私が夕陽を眺めているのは気分、そして5階まで校舎はあるのに何故3階にいるかと言うとそれも気分。


私は基本的に気分で動いてる。


ギシッ


「危なっ。」


階段の柵は錆びついていつ壊れてもおかしくない、しかも2階では一部柵が外れていた。

こんな危険があるならちゃんと鍵を閉めて、注意喚起をしておいてほしい。


「帰ろ…」


自分のことなんだけど、なんでこんな微妙な場所で夕陽を眺めてたんだろ。


「あっ、今日の夜ご飯何も準備してないや、買い物行かないと。」


重要なことを思い出して階段を駆け降りる。

私よりも勉強も運動もできる2人、私よりも友達が多くて両親に期待されてる2人、私の姉と妹。


ズルッ


「…!」


階段で足を滑らせた。

普段からボーッと過ごしてる私からすれば日常茶飯事だけど、今回は少し不幸だった。


足を滑らせた私は柵のないところへと転んでしまったのだ。


「あ〜、やっぱりここの注意喚起欲しかったなぁ…」


そもそも立ち入り禁止の場所に入った私のせいなのだが思わず呟いてしまう。


2階だし死にはしないだろうけど見ている光景がスローモーションのようになった、事故の瞬間とかは時間がゆっくりになるって聞いたことがあるけどこの高さでもなるのか…


ゴスッ


「キャーーーー!」


悲鳴が聞こえた。

近くに人が居たみたいだ、トラウマにならなければいいなぁ…



ーーーーーー


ピッ ピッ ピッ


何故か暑くて目が覚めるとベットに横にされタオルケットをかけられてた、此処は保健室かな。


窓の外を見ると、


(え、朝じゃん。)


普通に昼間だった。


冷静に周りを見ると此処は保健室じゃなくて、知らない部屋だ。

ドラマなどでよく見る心電図、無意識に外していた酸素マスク、もしかしなくても病院なのでは?


「失礼しますよー。」


入ってきたのは看護師さん、やっぱり病院だったらしい。


「ぁぁぁ…」

「え?

西川さん?まさか目が覚めて!」


私と目があった看護師さんは手に持っていたクリアファイルを置いて部屋から出て行ってしまった。

声がカスカスの私が引き止める方法は無い。


それからは大変だった。

看護師さんがお医者さんを連れてきて色々と説明をされた。

その中でも1番衝撃的だったのは、私が1カ月の間眠り続けていたというもの。


は?


私が落ちたのは2階だよ?

そんなになるって、少しどころかかなり運が悪かったのか。


「ご家族にも連絡しておきました、すぐ来るみたいですよ。」

「ぁぁ…」

「では私はこれで、何かあればナースコールでお知らせください。」


誰が来てくれるんだろ。

両親は仕事で海外、私が1カ月も寝てたなら帰ってきてるかもしれない。

だけど1年前に海外に行ってから1度も帰ってきてないし、基本的には私達の自主性に任せるスタイルだから帰っては来ないな。


じゃあ菁華すずな畔華ほとりのどっちか。

まぁ妹である畔華ほとりは受験が控えてるから来ないとして、来るのは姉の菁華すずなかな。


それにしても眠い。

お医者さんは『暫くリハビリに通ってもらうけど、骨折とかはないし、もしかしたら検査が終わって5日ぐらいで退院できるかも』って言ってた。

流石に体力も減っちゃったんだろう、苦手な運動が更に出来なくなっちゃうな…


「……」


少し寝よう。


「……」zzz


バン!


目を瞑りゆっくりと眠りに落ちていく途中、扉が勢いよく開けられた音で目が覚める。


栞華しおり!」「お姉ちゃん!」


あれ?予想は外れて2人で来たみたいだ。

というか来るの早くね?


姉に名前を呼ばれるのはともかく、最近は殆ど会話のなかった妹にお姉ちゃんって呼ばれたのは久しぶりだな。


「…!」


2人の様子が少し変だった。

髪が少しボサボサで、私を見る目がちょっと怖い。


「ごめんね栞華しおり、私は何もわかってなかった。

毎日帰ったらご飯作ってくれてて、洗濯も掃除も、1年前のあの日から引き受けてくれてて…

本当にごめんなさい、友達と遊びたかったよね、勉強する時間も減っちゃったよね、オシャレとか趣味とかする時間もなかったよね。

ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい…」


「お姉ちゃん、ごめんなさい。

私が困ってる時に助けてくれたのはお姉ちゃんだったのに、いつの間にか忘れてお姉ちゃんの事を見下して、今の私があるのは全部お姉ちゃんのおかげだったのに…

私がお姉ちゃんに家事を押し付けちゃったから、勉強する時間が減っちゃって、息抜きの時間もなかったよね。

全部私のせいだったの、ごめんなさいごめんなさいごめんなさい…」


え、急になに?!

怖ぁ…





ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

どうもノツノノです。


今回の新作は完全不定期で更新日は特に決めてません。

12月か年末年始ぐらいに沢山更新すると思いますが、なるべく更新まで間が開かないように努力します。

完結までは半年ぐらいを目標にしています。


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